書籍『関東大震災 朝鮮人虐殺の真相―地域から読み解く』




関原正裕(日朝協会会長、日朝協会埼玉県連会会長)著

『関東大震災 朝鮮人虐殺の真相―地域から読み解く』
新日本出版社、四六判並、200P、1,800円+税
2023年7月24日発行 ISBNコード978-4-406-06759-1
★ぜひお読み下さい★

―もくじ―

はじめに

第1章 歴史修正主義の台頭

第2章 虐殺の引き金になった県の「移牒」
 1 片柳村染谷での事件
 2 3日午後から始まった「不逞鮮人」問題
 3 自警団を虐殺へと飛躍させた「移牒」

第3章 なぜ、異例の恩赦が出されたのか
 1 史料『綾川武治 述 埼玉県自警団事件経過真相』
 2 検挙の「猶予」
 3 有罪判決から恩赦へ
 4 「特赦」を求めた論理
 5 「特赦」実施の社会的、政治的背景

第4章 在郷軍人の「不逞鮮人」経験
 1 地域における在郷軍人分会
 2 県北部地域での朝鮮人虐殺と在郷軍人
 3 歩兵第六六連隊のシベリア戦争と「不逞鮮人」
 4 寄居の事件で在郷軍人が果たした役割

第5章 朝鮮人虐殺事件の歴史的背景
 1 日本人民衆の差別意識
 2 戒厳令・「不逞鮮人暴動」通牒発出の背景
 3 「不逞鮮人」観の地域への浸透
 4 日本に渡航した朝鮮の人々

第6章 加害責任の自覚と戦後社会
 1 敗戦から1963年の40周年調査
 2 1973年50周年調査と加害責任の自覚

あとがき



【推薦文】

●関東大震災の朝鮮人虐殺から100年。日朝協会会長が世に問う渾身の一冊!
●豊富な物証で国・県の関与を解明、対外進出政策との関係も明らかに!

100年前の痛ましい出来事。教科書には、“流言が広がる中、自警団などにより殺傷された”などとある。では流言はなぜ流れ、また自警団とはどういう人々だったか。

事実を認めず真相を「歴史家がひもとく」などとする政治家もいる中、埼玉で真実を探求してきた歴史家が、具体的物証とスケール大きな時代把握で解き明かす!

☆3冊以上のご注文は協会本部にお申し込みください。

2023年9月号掲載


【感想文】

『関東大震災 朝鮮人虐殺の真相〜地域から読み解く』を読んで
関東大震災から100年、地震の災害規模よりも忌まわしい朝鮮人虐殺事件がクローズアップされているように思われます。

購読紙の毎日新聞には8月ぐらいから全国版、埼玉版に連日のように関連記事が掲載されたこと、加えて同じ憲法9条の会の会員でずっと以前から朝鮮人差別問題に取り組まれている先輩に勧められた「関東大震災 朝鮮人虐殺の真相」(関原正裕著・新日本出版社)を読み、更に話題の映画「福田村事件」を鑑賞し、頭の中の整理がつかないながら、表面的だった認識を恥じつつ、新たな事実・真実を知り得たことの意義を深く感じています。

明らかに当時の政府から発信された通達を根拠に、末端では上意下達が極めて曖昧なまま流言飛語により、かつて朝鮮半島で朝鮮人民を見下してきたであろう在郷軍人会、警察、真相を知らずに組織化された民間の自警団が恐ろしいばかりの集団心理で朝鮮人6,000人、中国人700人、そして混乱に乗じて社会主義者狩りも行われ、信じられないことながら、福田村他で誤認された日本人が少なからず惨殺されたという。日本人が知っておくべき日本の歴史上大きな負の財産にほかなりません。

福田村事件を取り上げた映画を観終わったあと、私は衝撃で立ち上がることができませんでした。森達也監督に称賛の拍手を送りたいと思います。

新宿の映画館は平日にもかかわらず、私が観た回も含め毎回満席だったようで、反響の大きさは喜ぶべきことと思います。

中国大陸へ土足で踏み込み、全土で殺戮を繰り返し南京では大量虐殺が行われた事実を否定する集団に、関東大震災の朝鮮人虐殺も犠牲者数を矮小化するなどして、歴史を改ざんするという、あってはならない流れがあるいま、ドイツはナチスへの協力者を戦争犯罪者として未だに追及し続け、あの戦争を国家として真摯に反省していることと比較して、日本人は日本人が冒した外国人に対する加害者意識があまりに希薄であることを関東大震災100年のいま改めて痛感するものです。(埼玉県在住 A 79歳)

2023年10月号掲載


【感想文】

歴史の改ざんは許せない
先日、松野官房長官が「記録が見当たらない」などの発言を記者会見で繰り返したとの報道は、さすがに私の耳を疑うばかりでした。100年前の関東大震災で軍や警察・自警団による朝鮮人や社会活動家に対する虐殺事件は、周知の社会的事件として認識してきたものだったからです。しかし、私自身これらの事件の社会的背景や内容に対して、十分な知見を持ち合わせていなかったことを、関原さんの「関東大震災 朝鮮人虐殺の真相」は教えてくださいました。そして今の政府の対応は、歴史に目をつぶり「虐殺」の事実をなかったことにし、過去の朝鮮・中国への対外侵略、人民抑圧を否定し、更には海外攻撃をも前提とする戦争政策を合法化するものと言わねばなりません。

私は、改めて大震災当時の私の居住する狭山市での状況を、「狭山市史」で確認しました。「関東大震災は総額100億円にものぼる被害を与えたが、打ち続く余震におびえる庶民を次々に襲ったのは流言飛語であった。『富士山が大爆発を起こした』『東京湾に大津波が 押し寄せた』などの言葉に混じって、『不逞鮮人が放火して回っている』とか『井戸に毒を投げ込んだ』といったデマが発生したのである」「入間川町(現狭山市)への伝播も一日夜のことであった。」「同町在郷軍人会分会長の口頭報告中朝鮮人にある『一名捕縛』は、町内に住んでいた『朝鮮あめ屋』を指すものと思われる。」「彼がいち早く姿を消したことで、朝鮮人暴動の真実性が、町内はおろか近隣の村々にいたるまで事実と誤認されてしまったのである。その後判明した事実によると、彼はすでに入間川警部補派出所の手により検束されていたが事件後彼は釈放され」たという。「飲料水である井戸水への投毒の噂は、村民にたとえようもない恐怖感を与えた」「入間川町でも、井戸に白墨で印があるものは毒が入れられているとして飲用を禁じたが、その後の調査により、水質検査の有無を示す印に過ぎなかったことが判明したという。」

 現在でも他国人、とりわけ中国・朝鮮人に対する意図的な攻撃やフェイクニュースがひろげられています。100年前の教訓を、これらの面からも学んでいく必要があるのではないかと思います。(埼玉県在住 T)

2023年11月号掲載


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