日朝協会第46回定期全国総会 決定


日朝協会第46回 定期全国総会の決定は以下の通りです。




第46回全国定期総会(議案)

はじめに
 前第45回総会(2017年6月、神奈川)以降、ろうそく革命で誕生した文在寅政権の下、朝鮮半島を中心に東アジアの情勢は激動しています。こうした中で日朝協会は2018年5〜6月のブロック交流集会を成功させたことをはじめ様々な取り組みを進めてきました。
 しかしながら、2018年6月に現職の事務局長を急病で失うという前例のないアクシデントに見舞われ、本部機能が弱体化したことは、全国の運動にも少なくない困難をもたらしました。今時総会には新しい事務局長を選出して新体制を確立するという任務が与えられています。
 第45回全国総会で「日本の敗戦と朝鮮戦争を含む現代との観点」を重視する方針を確立し、これをテーマにした学習会・講演会などが、本部の取り組みをはじめ、全国各地の組織で取り組まれました。私たちは、植民地支配についての正しい歴史認識が朝鮮半島の平和構築と日朝友好にとって、基礎的となる課題であることを自覚し、この観点を国民の中に広げる大きな責務を果たさなくてはなりません。日朝友好運動を前進させるため、組織の拡大強化を図るため、今次総会で大いに議論しましょう。

第1章 激動する内外情勢
(1)朝米・南北首脳会談
 第45回全国総会開催時期(2017年6月)には朝鮮半島は戦争の危機にありましたが、韓国のろうそく革命によって誕生した文在寅政権の南北関係改善の政策によって、米朝関係に大きな変化が生まれ、戦争の危機から朝鮮半島の非核化・平和の実現へと向かっています。
 2018年4月27日に文在寅大統領と金正恩委員長による会談が板門店で行われ、「板門店宣言」を発表しました。宣言では、@南北関係の全面的な改善と発展を成し遂げることにより、途絶えた民族の血脈をつなぎ、共同繁栄と自主統一の未来を引き寄せていく、A先鋭な軍事的緊張を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するために共同で努力していく、B朝鮮半島の恒久的で強固な平和体制構築のために積極的に協力していく、などとうたいました。
 5月26日の2度目の南北首脳会談を経て、6月12日には史上初となる北朝鮮と米国の首脳会談がシンガポールで開催されました。共同宣言では、「トランプ大統領は北朝鮮に安全の保証を提供することを約束し、金委員長は朝鮮半島の完全な非核化への、確固として揺るぎのない約束を再確認」した上で、@新たな朝米関係の構築、A朝鮮半島における持続的で安定した平和体制の構築、B朝鮮半島の完全な非核化への努力、C板門店宣言の再確認などの「合意文」が発表されました。
 会談を受けて北朝鮮は一部核施設の破却を開始し、米兵の遺骨送還を実現するなどの実践に入っており、米側も米韓合同軍事演習を中止するなど、「行動対行動」の動きが始まりました。さらに9月18日から平壌で、3度目の南北首脳会談が行われ、「朝鮮半島全域での実質的な戦争の危険の除去」を含む「9月平壌宣言」が発表されました。「軍事分野合意書」は朝鮮半島で二度と戦争を起こさないという「事実上の不可侵合意書」と位置づけられる内容で、世界各国からも高い評価を得ました。
 平壌宣言を受けて、10月7日にはポンペオ米国務長官の訪朝が実現し、2度目の米朝首脳会談が模索され、2019年2月27日・28日に2度目の朝米首脳会談がハノイで開催されました。両首脳は合意にいたらなかったものの、トランプ大統領によれば、「とても友好的だった」会談で、金正恩氏との「関係を維持したい」と交渉の決裂ではないことを強調しています。「1年前よりは近づいており、最終的には合意できるだろう」と今後の交渉に楽観的な見方も示しました。一方、朝鮮中央通信は「生産的な対話を続けていくことにした」と述べるなど今後の交渉の進展に期待される結果となっています。

(2)日朝国交正常化
 こうした北東アジアの情勢の激変の中で安倍政権は、北朝鮮への制裁および圧力による対応一辺倒に終始してきました。いわゆる「日本人拉致問題」については、トランプ大統領や文大統領に首脳会談で「言及するよう」懇願するだけの哀れな姿を晒しながら、国内世論向けに拉致問題を利用する姿勢を変えていません。2018年7月にベトナムで日朝間の「極秘接触」があったとの報道や8月に河野外相と李容浩北朝鮮外相との「立ち話」があり、9月26日にわずか20分の外相会談などがありましたが、国交正常化への具体的な進展は見えてきません。それどころか、日本国内においては、朝鮮学校の授業料無償化を拒否し続け、神戸朝鮮高級学校生徒の北朝鮮への修学旅行のお土産を税関が没収するという異常な対応に終始しています。
 なお、外務省は2018年7月1日より朝鮮半島全体の外交を担う「北東アジア課」を、韓国担当の「第1課」と北朝鮮担当の「第2課」に分割し、対北朝鮮外交を専門に扱う担当課を新設しました。日朝交渉の本格化に備え、体制を強化する狙いと報道されており、動向が注目されます。

(3)元徴用工問題をめぐる日本政府及び日本人の歴史認識
 2018年10月30日、韓国の大法院(最高裁判所)は、朝鮮人元徴用工(戦時中に強制連行された労働者)4人が新日鉄住金を被告に提訴した損害賠償請求訴訟に対し、原告の請求を認め、被告企業に賠償金の支払を命じる判決を出しました。安倍晋三首相は、元徴用工の個人請求権は1965年6月の日韓基本条約と請求権・経済協力協定で「完全かつ最終的に解決している」、大法院判決は「国際法に違反する」と主張しています。河野太郎外務大臣も「判決は日韓友好関係の法的基盤を根本から覆す」「政府はいわれなき要求を拒否する」などと非難しました。さらに、政府は新日鉄住金に対して「賠償に応じるな」と指示しています。しかし、日本政府は日韓基本条約や請求権協定などによって個人の賠償請求権は消滅していない」と国会で答弁しています。日本の最高裁判所も個人の賠償請求権は消滅しないと判決で認めています。河野外相も同様の国会答弁を行っています。この事実から見て、安倍首相・日本政府の主張は明らかに間違った自分勝手な言い分です。
 ところが、日本の主要なメディアはこの日本政府の主張と同じ内容を報道し続け、韓国を批判しています。このマスメディアのミスリードによって、日本人の多くも「韓国はおかしい」と思い「嫌韓ムード」が高まっています。こうした事態は、日本の植民地支配につての政府や市民の歴史認識の問題でもあります。植民地支配責任についての正しい歴史認識を市民の中に広めていくことが改めて重要になっています。

(4)憲法9条を守る運動と沖縄の新基地建設問題
 2018年秋の臨時国会での憲法「改正」案の発議に失敗した安倍政権は依然として憲法改悪への執念を捨てていないばかりか、2020年改憲というその黒い情念を一層たぎらせています。最近では、自衛隊募集に地方自治体を強制動員するためにも憲法への自衛隊明記が必要と主張しています。何が何でも通常国会中に憲法審査会を開催させ改憲議論を始めさせようとしています。自民党と日本会議は小選挙区単位で国民投票連絡会を組織し、「草の根」の改憲運動を強めています。
 4月の統一地方選挙を経て、7月の参議院選挙で安倍改憲に賛同する議会勢力を改憲の国会発議に必要な3分の2議席以下、さらには過半数以下に追い込むことが、安倍9条改憲を阻止し平和憲法擁護のために極めて重要になっています。
 沖縄の辺野古新基地建設については、2018年9月に過去最高得票で当選した玉城デニー知事のもと、政府による強引な埋め立て工事が開始されましたが、2019年2月24日投開票の県民投票では玉城氏の県知事選の得票を上回る圧倒的な民意で新基地建設反対が示されました。しかし、安倍政権はこの沖縄の民意を一顧だにせず、違法な土砂を投入する埋め立て工事を強行しています。

第2章 第45回全国総会(17年6月)以降の活動経過・教訓と今後2年間の重点課題
(1)ブロック別交流集会の開催
 2018年5月19日に中四国・九州、6月10日〜11日北関東・東北、同日程で関西・中部&北陸、6月17日〜18日北関東・東北のブロック別交流集会を開催しました。2016年秋の初めてのブロック別集会の成果を継承し、ブロックを再編するなどの工夫を加え、発展させることができました。夜の交流会を含め、豊かな経験交流、人的交流の場として貴重な機会が得られました。
 2020年6月を目途にブロック別交流集会の成功を目指します。その際に、近隣組織の教訓的な日常活動とそのための工夫、また困難がある場合にはそれらを克服するための努力などが交流されるよう図ることが重要です。

(2)本部事務局機能の強化と機関紙活動の充実・発展
 本部事務局では空席となっている事務局長を今全国総会で選出します。
 機関紙「日本と朝鮮」では2018年5月号から大図全国理事によるシリーズ「明治150年の今年、あらためて朝鮮問題・日朝関係を学ぶ」を連載するなどの時宜にかなった企画を追求してきました。紙面改善については編集委員会での議論を経ながら、協会内外の幅広い執筆者の寄稿に結実していますが、文化面を含む新連載・リレー掲載については、読みやすい紙面づくりへのさらなる努力が求められています。
 前総会で提起された(地方)通信員についてはシステム構築や有効な実践に至りませんでしたので、今後の一層の改善が必要です。

(3)朝鮮半島の非核化と平和を求める動きに呼応して
 南北・朝米の首脳会談に呼応して、機関紙「日本と朝鮮」2018年6月号では、「南北首脳会談と板門店宣言を歓迎し、北東アジアの平和と安定の実現を期待する」特集を組み、国際友好団体や民主団体、協会役員や会員の声を紹介して、「北の微笑みにだまされるな」という類の政府・マスメディアを中心とする冷ややかな反応に対抗し、朝鮮半島の非核化と平和への道のりが前進することへの期待の大きさと、「17年危機」からの変化への歓迎を示しました。
 また、史上初の朝米会談後の「日本と朝鮮」7月号では、石橋会長声明「南北首脳会談に続く初の米朝首脳会談の成功を歓迎し、日朝国交正常化の実現を切望する」を発表し、「日本と南北朝鮮にとどまらず全世界の人々の切実な願いに応える快挙」と評価。「トランプの負け」「非核化は口だけ」という米日メディアの批判的な言説に対して、前進面を指摘するとともに、この機会を逃さず、日朝国交正常化に踏み出すよう安倍政権の方針転換を促しました。
 次いで、7月3日には緊急学習企画として、川田忠明日本平和委員会常任理事を講師に「南北板門店宣言と米朝首脳会談〜どうなる朝鮮半島の平和と完全非核化」を開催しました。当日は東京、埼玉、神奈川のほか、千葉、大阪や全労連、日中友好協会から61名が参加して成功させました。

(4)日朝国交正常化への取り組み
 日朝協会は2018年3月19日に執行役員会名で、南北関係進展への歓迎・期待とともに、その障害となる米韓合同軍事演習の中止と朝鮮半島の非核化を求める立場を明らかにしました。
 本部は2018年4月12日、安倍首相、河野外務大臣にあてた「朝鮮民主主義人民共和国問題の解決は、平和的な対話を通してすすめていただくための要請書」を携えて外務省を訪れ、アジア大洋州局北東アジア課主査と懇談、政府が対話によって平和的解決を行うという立場に立って、積極的に関係諸国に働きかけ、日朝国交正常化や北東アジアに戦争の火種がなくなるよう全力で取り組むよう要請しました。
 さらに、10月11日には同年2度目となる外務省要請行動を実施し、首相ならびに外相にあてた「朝鮮半島の平和・完全な非核化推進のために政府のいっそうの尽力を求める要請書」を新設の北東アジア第二課主査らに提出し、国交正常化交渉を進めるよう要請しました。
 11月には加盟全組織を挙げて「日朝国交正常化署名」に取り組むことを決め、第一次集約を12月、第二次集約を3月末として取り組んできました。団体署名ならびに個人署名を政府に提出して国交正常化交渉に取りかかるよう要請する準備を進めています。本部では署名活動の実践過程でのさまざまな疑問に答える「Q&A」を機関紙「日本と朝鮮」に掲載し、全国の活動を励ましてきました。その結果、加盟組織でも、東京都連や石川県支部などが顕著な成果を挙げていますが、まだまだ全組織を挙げた」取り組みになっていません。
 今後の一層の取り組み強化のためには、@街頭宣伝などに打って出る活動が必要、A各加盟組織が一定の数値目標を定めて追求すべき、B全会員・読者に働きかける、C電子署名などITの活用などの方略が提言されており、加盟組織が計画を具体化し、本部としても加盟組織の取組状況を把握することが求められています。

(5)植民地支配の歴史わい曲を許さない
 関東大震災朝鮮人犠牲者追悼94周年、95周年の取り組みは、東京、埼玉、群馬、神奈川、千葉などで執り行われ多くの参加者がありました。墨田区横網町公園での追悼式では、小池百合子東京都知事が2017年、18年と続けて追悼文の送付を拒否しました。これは、日本会議の都議らの「虐殺否定」に同調するものであり、協会東京都連が事務局に参加する関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員会が強く抗議し、広く都民に知らせ、マスコミからも大いに注目されました。
 2018年秋以来の「徴用工」問題に関わって、朝鮮半島の近現代史=日本の朝鮮植民地統治についての国民的無理解や国家的歴史修正に対して、国際友好運動・平和運動をはじめとする民主的な団体・良心的な個人の間で、「ちゃんと知りたい」という要求が大きく広がっており、本部や加盟組織役員らによる各種機関紙への投稿や講演依頼が増えています。また、朝米・南北首脳会談を経て、韓国・朝鮮への関心が大きく広がっています。
 こうした事態に対応するため、本部では2018年11月9日に「『徴用工問題』の公正な解決を求める声明」を発するとともに、機関紙上などでも歴史歪曲を許さない取り組みを継続しています。この問題では植民地支配に対する政府と国民の歴史認識を大きく変えていくことが必要とされており、引き続き正しい歴史認識を拡散していきます。
 また、2015年12月の日本軍「慰安婦」問題での「日韓合意」について、韓国政府が見直しを行っていることに対して、日本政府やメディアは一方的に韓国批判をおこなっています。これも前期と同様の歴史認識問題です。本部は「慰安婦」問題テーマのドキュメント映画「主戦場」を「日本と朝鮮」5月号で紹介し、この問題の歴史認識を広める取り組みをしましたが、引き続きこの課題にも取り組んでいきます。

(6)日本国憲法を守る格別な重要性と沖縄に新基地を造らせない闘い
 2019年4月の統一地方選挙を経て、7月の参議院選挙で安倍改憲に賛同する議会勢力を憲法改悪に必要な3分の2議席以下に追い込めるかどうかが、平和憲法をめぐる闘いの焦点となっています。
 沖縄の辺野古新基地建設については、沖縄の民意に従い、新基地建設を中止するよう求める各種集会に協力します。沖縄の新基地建設中止、普天間飛行場の撤去を求め、イージス・アショアの配備やオスプレイの横田基地配備や日米合同軍事演習強化を許さない全国的な取り組みが必要です。

(7)3.1朝鮮独立運動100周年
 3.1独立運動記念行事は、東京、京都、埼玉などで積極的に取り組まれてきました。99周年の2018年は、全国総会方針に基づき、100周年のプレ企画として位置づけました。そのための本部の要請に応えて新たに、大阪、山口、石川、宮城でも取り組まれました。こうした広がりは大変に貴重な経験です。
 本部では面川誠氏を講師として、学習会「今、韓国から目が話せない」を2018年3月1日に開催しました。
 2017年9月に発足した「2019 3・1独立運動100周年キャンペーン」(「3・1運動キャンペーン」)は、2018年6月のスタート集会から19年2月24日の打ち上げ集会を経て、3月1日の新宿キャンドル行動までの一連のキャンペーン活動を成功させました。このキャンペーンは、日朝協会の提唱によって始まった、いわば韓国・朝鮮問題の「総がかり行動」「野党共闘」の壮大な運動でした。「3・1運動キャンペーン」には複数の本部執行役員が実行委員会に参加し、2018年10月、12月、2019年2月の集会にも近隣の都県から少なくない役員・会員が参加して運動の成功を支えたことは組織の体験として特筆すべきものです。
 また、加盟各組織でも、平和・友好団体と共同して実行委員会形式で取り組み、街頭宣伝も行った京都府連や150団体に呼びかけ10,000部のチラシで宣伝した東京都連、県都以外で開催した埼玉県連など3.1百周年を記念する集会や学習会に格段の取り組みを進めた経験は今後の組織的発展にとっても重要です。この運動は3月1日で終わりではなく、2019年中取り組みを続ける必要があります。
 2019年の3.1独立運動100周年をソウルで迎え、韓国の運動圏と交流する本部企画ツアーが催行され、13名の会員らがキャンドル革命の源流と位置づける韓国の民主化運動に大きな刺激を受けました。3月1日の韓国進歩連帯との懇談では、組織の代表者から日朝協会への熱いラブコールも伝えられ、協会の今後の国際活動に新たな展望を開くものとなりました。

(8)朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!市民連帯行動
 2019年2月11日、朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!市民連帯行動実行委員会が発足しました。
 過去の植民地支配と侵略・加害の歴史を直視し、日本社会の排外主義を克服し、朝鮮半島の非核・平和を実現することをめざす市民運動として、朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!市民連帯行動実行委員会がつくられました。この実行委員会は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会と前記の「3・1運動キャンペーン」が呼びかけたものです。この市民連帯行動は韓国の多数の市民組織とも連帯して、4月24日に講演会を開催し、韓国から複数の代表を招いて、6月6日に大集会、7日にシンポジウムを企画しています。日朝協会はこの実行委員会に参加し、事務局の一翼を担って活動しています。

(9)在日韓国・朝鮮人の諸権利の擁護と韓国・朝鮮の人々との交流
 2016年の「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(ヘイトスピーチ解消法)」の公布・施行にもかかわらず、ヘイトスピーチとその根源がなくなっていません。4月のいっせい地方選挙には「日本第一党」が公認候補を立候補させ、選挙運動の建前で悪質なヘイト宣伝を振りまきました。川崎や鶴見などでのヘイトスピーチとの闘いや東京都条例制定などの教訓を協会全体に共有する必要があります。
 朝鮮学校との交流、補助金・助成金打ち切りなどへの反対・復活を求める取り組みが続けられています。高校無償化からの除外は裁判での敗訴が続く中で、粘り強く進められています。永住外国人の地方参政権付与の取り組みも重要です。
 戦前、強制連行などで日本の鉱山などで亡くなった朝鮮人の遺骨を返還する取り組みが大阪などで取り組まれていますが、この活動を全国的に交流し、広めることが求められています。
 国際友好運動と旅行企画は、現地に行って実際に交流し、歴史認識を深める経験として大切です。2020年には光州民主化運動40周年をテーマとする旅行企画・立案も要請されています。
 3.1百周年を契機に接点が生まれた韓国進歩連帯からの招請に応じて、4月26日にソウルで「コリアの平和体制と日韓平和連帯の模索」シンポジウムに出席して発言し、27日には「板門店宣言1周年記念大会」に参加するなど国際活動の端緒を開きました。これまで朝鮮半島にカウンターパートの無かった協会の、今後の国際活動の発展が期待されます。

(10)各地方組織と本部での組織・宣伝・財政の強化について
 各地方組織は時宜にかなったテーマの学習会や文化的な催しを実施し、会員を増やす努力を継続してきました。前総会以降、いくつかの経験を教訓とし連続的な「(定)例会方式」を重視してきましたが、構成員の自然減は回避できない問題であり、会員増がなければ減退を免れないことを自覚的に捉え、目標数を定めるなどの措置を伴った会員の増加を追求しなくてはなりません。
 また。役員体制の若返りや刷新については、北海道と石川で実践され、地方版機関紙の発行やカンパ、署名などへの取り組みについて変革への姿勢が目立ちました。一方で女性会員・役員の意識的増員が求められています。
 毎月集計している会費未納金額を現在の半分以下にすることをめざす課題では、登録会員数の多い組織の早期納入が必須の条件です。一方で長期にわたって未納が続いていた組織の中に、部分的に納入されるという改善への兆しも表れてきました。
 18年冬期の特別募金については本部執行役員会・全国理事会での十分な論議を経たにもかかわらず、北海道、群馬、東京、石川、広島、高知、北九州などの積極的な取り組みを除くと全国的な対応にはなりきれませんでした。
 慢性的に収入不足の状態となっている本部財政は、あらたな借入金により過去の立替金・未払金を完済することができたものの、借入金の返済への具体的方策は未定です。そうした状況への対策として、本部内に財政問題を検討する会議を立ち上げ、収支バランスについての検討を深めています。
 ホームページ、SNSなどITを活用した活動にも取り組み、日朝協会の会員を増やし、「日本と朝鮮」の読者を増やす、さらに全県に組織をつくるなど、日朝協会の組織を強化する活動に力を注ぎましょう。


2019年6月 日朝協会全国総会inさいたま まとめ

 本総会には2日間で60名が参加しました。内訳は男性51名、女性9名で、女性の比率は15%でした。最高齢は98歳、最年少は18歳で、年齢差80歳でした。
 1日目の全体討論では9名が発言しました。発言には次の5つの特徴がありました。
1)歴史認識をめぐる課題では、大阪の朝鮮半島出身者の遺骨返還事業や東京の関東大震災時朝鮮人虐殺犠牲者追悼の運動が共有されました。また、テレビドラマや落語を通じた国民的な歴史認識形成の課題も提起されました。
2)差別を許さない闘いでは、朝鮮学校への不当な差別を許さない運動に、協会本部としても本腰を入れた対応をすべきだとの主張がありました。沖縄新基地建設には「朝鮮人差別」と同根の「沖縄差別」があるのではないかという指摘もありました。
3)機関紙を充実させる課題では、本部機関紙の「日本と朝鮮」は難しすぎるので改善すべきという意見や地方版機関紙の発行の苦労と紙面の工夫についての報告がなされました。
4)運動拡大のツールとして、京都で100円パンフを作成・販売し、運動の推進のツールにしている経験、東京・小平で講演会の記録をパンフレットにまとめ、販売・拡大している経験が語られ、本部からは「市民連帯行動」から生まれたパンフレット普及の訴えがありました。
5)学習活動の強化については、本部から「学習の友」とのタイアップで、連続学習集会開催の提言があり、北海道からは「学習を特別に重視したい」との決意表明もありました。
 また、2日目の3つの分散会では、ヘイトスピーチとの闘い、地方版機関紙の定期発行の重要性、フィールドワークの多彩な試み、在日コリアンとの交流、組織の若返り・刷新、本部企画韓国ツアーで「目からウロコ」、関東大震災時犠牲者追悼の運動、3.1百周年をめぐる植民地主義克服の積み重ね、インターネット・SNSの活用などの経験が交流されました。
 なかでも、日朝国交正常化署名や機関紙の見本紙を送っての会員拡大への努力、全国総会を通して「なんとしても会員拡大を」という決意が芽生えたという力強い発言が印象的でした。


日朝協会第46回全国総会宣言

 日朝協会は、2019年6月15日(土)・16日(日)埼玉県さいたま市で第46回全国総会を開催しました。総会には以下のスローガンを掲げました。
1. 日本と朝鮮半島に非核・平和の確立を! 朝鮮半島の平和的統一を! 日朝国交正常化を!
2. 朝鮮植民地支配の事実と責任について歴史認識の共有をめざす!
3. 南北朝鮮の市民、在日コリアンとの交流・友好の発展を期す!
4. 本部新執行部を確立し、全国で組織と財政の強化・発展を!
 朝鮮半島をめぐり、いま、情勢が大きく変動しています。韓国の「ろうそく革命」によって誕生した文在寅大統領は朝鮮半島の非核化と平和の確立、南北の平和的な統一をめざし、これに金正恩委員長が応答し、韓国の保守政権の間途絶えていた南北の対話と交流がはじまりました。そして、2度の南北首脳会談が実現し、それを基礎に金委員長とトランプ大統領による米朝首脳会談も2度開催されました。こうして、朝鮮戦争の終結・平和協定の締結、朝鮮半島の非核化と平和の確立に向けて歴史が大きく動き出しています。まだ、いくつもの障害や困難がありますが、この道は必ず前進していくといえます。
 こうした動きに対して、「制裁」「威嚇」ばかりを強調する外交方針をとってきた安倍政権は完全に「蚊帳の外」に置かれています。日朝首脳会談は「拉致問題解決が前提」と主張してきた安倍首相は最近になって「無条件で金正恩委員長に会う」と言い出しましたが、金委員長が応答するかは不明です。朝鮮半島の非核化・平和の確立のためにも、一日も早く日本と北朝鮮との国交を正常化しなければなりません。日朝協会は、18年11月からはじめた「日朝国交正常化署名」の取り組みを強化し、国交正常化のための日朝会談を実現することを求めます。さらに私たちは、3・1独立運動百周年記念の取り組みではじまった韓国の市民組織との交流を発展させ、韓国市民との交流、友好親善に力を入れながら、在日朝鮮・韓国人との交流を進めることを確認します。
 「徴用工」・日本軍「慰安婦」問題、関東大震災時朝鮮人虐殺などで、日本政府や日本人の歴史認識が問われています。日本人の侵略・加害、植民地主義の自覚と責任が希薄なために政府の韓国・北朝鮮への攻撃を許し、ヘイトスピーチの温床にもなっています。こうしたことを克服するためにも、「近現代史」についての「学習会」を各地で開催することを確認しました。
 安倍晋三首相は「戦争する国」をめざして、沖縄県辺野古の新基地建設を進め、憲法9条を中心とした改憲に執念を燃やしています。「安倍改憲」に反対し、来る7月の参議院選挙で与党と改憲勢力を3分の2以下に追い込むために奮闘することが提起されました。
 以上のような課題を達成するために、日朝協会の活動と組織をさらに強化・発展させること、そのためには、若い会員を積極的に増やすこと、財政問題を全体で解決していくことが確認されました。さらに、機関紙『日本と朝鮮』やホームページをいっそう充実させ、フェイスブックなどのSNSの活用を一層活発にすることが提起されました。
 総会で発言された内容には、活動を前進させる上で参考になるものがたくさんありました。その教訓をそれぞれの日常活動にいかし、市民から信頼され、もっと多くの人々と一緒に日・朝・韓及び在日コリアンとの交流と友好親善をすすめるために、総会決定と総会決議を早く会員に届けてよく討議し、みんなで次期総会にむかってがんばっていこうと誓い合いました。 

2019年6月16日
日朝協会第46回総会






お問い合わせ
日朝協会本部 TEL 03-3237-1991






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