日朝協会の声明・談話など

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新年挨拶 戦争の臭いに敏感になろう

2025年、新年明けましておめでとうございます。今年は戦後80年ということで、過去の日本の侵略戦争と植民地支配について見つめ直し、今日の時点で何を考えるべきかがあらためて問われる年になるだろう。

かなり前のことだが、哲学者の高橋哲哉さんがある講演の中で、戦前のジャーナリスト清沢洌の『暗黒日記』の1945年正月の記述を紹介して、当時の日本人の戦争認識について触れていた。80年前の1月1日、清沢は次のように書いている。

 「昨夜から今晩にかけ、3回空襲警報が鳴る。焼夷弾を落としたところもある。一晩中寝られない有様だ。僕の如きは、構わず眠ってしまうが、それにしても危ない。配給のお餅を食って、おめでとうを言うと、やはり新年らしくなる。曇天。日本国民は、今、初めて“戦争”を経験している。」

この38日ほど前の11月24日に、東京は初めてB29による空襲に遭っている。攻撃されたのは、中島飛行機武蔵製作所(現、東京都武蔵野市)で、その後12月3日、27日、翌年の1月9日……と空爆は続いた。こうした状況から、1月1日にも東京に空襲警報が鳴ったのだろう。この時期、日本軍の制空権はとうに無かったし、制海権も奪われ、戦争に勝つ見込みは全くなかった。1945年2月には元首相の近衛文麿が昭和天皇に「敗戦は遺憾ながら最早必至〔中略〕速やかに戦争終結を講ずべき」と進言している。

アジア・太平洋戦争が開始されてまる3年が経ち、日中戦争の開始から数えれば8年が経過していたが、日本人は自分の頭上に爆弾が投下されるのを目撃してやっと「初めて“戦争”を経験」したと清沢は見ていた。当時の日本人は、日本軍は「鬼畜」のごとき米・英軍と英雄的に戦っているとの報道を鵜呑みにして、戦争をどこか遠い世界の出来事と考えていたようだ。

振り返って今日の日本はどうだろう。確かに戦争はしていない。しかし、中国、朝鮮、ロシアは日本人の間では「敵」として意識されていないだろうか。「敵」はSNSによって瞬時に「鬼畜」にもなりうる。「台湾有事」なるものに備えて、もっぱら「敵」を攻撃するためのミサイル基地が沖縄県を中心に建設されつつある。5年間で43兆円もの予算を使って軍備の増強が計画されている。そのために法人税とたばこ税の増税を2026年4月から始めると政府は考えている。所得税の増税は少し遅らせるらしいが、その時になって「手取りが減る」から戦争の為の増税反対と言っても”時すでに遅し”ではないかと危惧する。

2025年1月、今の日本には戦争の臭いがプンプンしているではないか。戦争が始まり、頭上にミサイルが飛んでくる前に戦争の準備を止めさせなければならない。一番止める力を持っているのは、戦争で真っ先に犠牲に供される一般市民である。「人を殺し、自分が殺されるのは、やだ!」と素直に声を上げる市民だ。

私たちの祖先は、夥しいアジアの人々を殺害し、傷付け、夥しい日本人も犠牲にした戦争の歴史をつくってしまった。だからこそ、私たちは戦争の臭いに特別に敏感でなければならないと思う。

2025年1月
日朝協会会長 関原正裕

【談話】民主主義を守り進めた韓国の人々に連帯する

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が12月3日夜に戒厳令を発令し、深夜に国会にかけつけた与野党の国会議員と多くの市民が、投入された軍に抵抗しながら6時間後に戒厳令の解除に追い込んだ一連の情勢は、あたかも今年大ヒットした韓国映画「ソウルの春」を彷彿させました。

国会前にかけつけた市民はあきらかに「1980年の光州」を意識していたはずです。あっけない結末からは想像しがたいかもしれませんが、まさに「決死の覚悟」であったに違いありません。投入された軍人も44年前の戒厳令下の軍隊とは違って、市民に銃撃、暴行を加えることはなかったようです。そこには1987年の「民主化」までに積み上げ、その後に引き継いできた民主主義の力強さがありました。

翌日から連日市民が街頭で繰り広げた「退陣要求」の諸行動にはK-POPのヒット曲と民主化運動で歌われた「ニムのための行進曲」などの民衆歌謡が同居していたといいます。そこには、過去の民主化運動の担い手と若い世代の共同の力が現われていました。カラフルなペンライトを掲げて声を上げる若い世代、とりわけ女性の姿が目立ちましたが、彼女たちは「#MeToo運動」やセウォウル号沈没、梨泰院(イテウォン)圧死事故の犠牲者と同世代で、ジェンダー差別に対して闘ってきた経験を持っているとの指摘もあります。

12月14日には尹大統領の弾劾訴追案が国会を通過して、大統領権限が停止されるに至りました。日朝協会は韓国の人々が民主主義を守り発展させていることに心からの連帯を表明します。

これから弾劾裁判を経て新しい大統領が選出されることになると思われますが、気になるのは日本の大手メディアの報道です。野党から大統領が選ばれると、尹大統領のような「親日」姿勢から「反日」政権に代わり、日韓関係は文在寅(ムン・ジェイン)政権時代のような冷たい関係になるという論調です。これは、尹大統領が対日妥協的な外交姿勢をとってきたことが、植民地支配責任を認めようとしない日本の自民党政権にとって極めて好都合であったことを覆いかくすものです。さらに野党の大統領では朝鮮に融和的になるので、日米韓の同盟関係にヒビが入るとか、拉致問題の解決が遠のくといった身勝手な報道すら見受けられます。

私たち日本人に求められるのは日韓朝の各政権がどうであれ、植民地支配の加害を忘れず、歴史に向き合って、朝鮮半島の人々との友好を進めることではないでしょうか。私たちはその先頭に立って活動していきます。

2024年12月17日
日朝協会 事務局長 今野耕太

群馬の森の「朝鮮人追悼碑」撤去中止を求める声明

群馬県高崎市の県立公園・群馬の森にある「朝鮮人追悼碑」を群馬県は「行政代執行」によって強制的に撤去する作業を始めた。「記憶、反省、そして友好」と刻まれた碑は2004年に群馬県・県議会と市民の合意により設置され、植民地支配の歴史を振り返り、日本と朝鮮半島の人々との友好の心情をはぐくむ場として機能してきた。

にもかかわらず、県は2014年に「設置条件に反する」として設置許可の更新を拒否した。過去に追悼碑の前で行われた集会で「政治的発言」があったという理由だが、背景には右派の執拗な撤去要請があり、歴史歪曲を県が受け入れた形で容認できない。

市民団体「『記憶 反省 そして友好』の追悼碑を守る会」は県の決定を違法として提訴したが、県の決定を適法とする判決が最高裁で確定した。その後、市民団体とのじゅうぶんな交渉もせずに「行政代執行」による撤去に踏み切った県の姿勢は乱暴な民主主義の破壊であり、許されない。そのうえ撤去費用約3,000万円の支払いを市民団体に求めているとされることも重大だ。撤去は日本と大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国との国家間の信頼関係を破壊し、国民間の和解と友好を阻害する行為以外のなにものでもない。

日朝協会は日本と朝鮮半島の国や人々との善隣友好を促進する立場から、過去の植民地支配の歴史を正しく学び、継承する活動を進めている団体として、満腔の怒りを込めて群馬県に抗議するとともに、撤去作業をただちに中止することを強く求める。
2024年2月1日
日朝協会 会長 関原正裕
事務局長 今野耕太

新年のご挨拶 世界から孤立しつつあるアメリカ

昨年12月8日、国連安全保障理事会においてイスラエルのガザへの軍事侵攻に対し、アラブ首長国連邦(UAE)が提案した「人道目的の即時停戦」決議案が否決されました。アメリカが拒否権を行使したためでした。この決議案は、世界97カ国が共同提案国に名を連ね、15理事国のうち日本も含めた13カ国が賛成していました。

このようなイスラエルに肩入れするアメリカの姿勢は、今始まったことではありません。

2001年に南アフリカのダーバンで国連の反人種主義国際会議(約150ヵ国の政府・NGOが参加)が開催され、奴隷貿易・奴隷制は国際法上の「人道に対する罪」であり、植民地主義は「今日の世界各地における社会的経済的不平等を続けさせる要因であることは遺憾」とする宣言が採択されました。この宣言に対してアメリカとイスラエルは反対し、会議を途中退席したのです。

反対の理由は、宣言の中に「外国の占領下にあるパレスチナ人の苦しみを憂慮し、パレスチナ人の自決権と独立国家の建設について奪うことのできない権利を認識する」という一文が入っていたからでした。現在も続いているイスラエルによるパレスチナのガザ地区とヨルダン川西岸地区の占領支配を植民地主義であるとして非難していたのです。

過日、進められたイスラム組織ハマスとイスラエルの間の人質と囚人の交換で、イスラエルのパレスチナ人支配の実態が見えてきました。11月の時点で、イスラエルに収監されている「治安囚」は6,809人、裁判なしの行政拘禁も多数ふくまれています。イスラエルの警察車両に投石したとして2年間収監されていた17歳の少年、イスラエル人入植者を刺したとされ、裁判もなく2年間投獄された16歳の少女もいました。イスラエルのパレスチナ人支配は、ダーバン宣言にあるように「憂慮」すべきものであり、反人道的で過酷な植民地支配と言ってよいでしょう。

このダーバン宣言をきっかけに、欧米諸国による過去の奴隷貿易・奴隷制の歴史を告発し、帝国主義国による植民地支配の歴史を問い直す時代になっています。アメリカ国内のBLM(黒人の命は大事だ)運動は、全米人口の1/4にすぎない黒人・ヒスパニックが全米囚人の59%を占めるといった構造的な差別の現実を告発しています。

また、植民地支配のもとで被害を受けた人権を救済するという立場にたって、植民地支配そのものの不法性・不当性を追及するという世界的な潮流が生まれています。2018年の韓国大法院の元「徴用工」判決、つい先日11月23日のソウル高裁の日本軍「慰安婦」判決など、韓国司法は、日本の植民地支配のもとでの被害を、人間としての尊厳を踏みにじった反人道的な人権侵害であるとして、加害者は謝罪と賠償を行ない、被害者の名誉と尊厳を回復しなければならないとしています。こうした司法判断の背景にあるのは、ダーバン宣言とそれを後押しする世界の潮流です。

このような潮流に背を向けているのがイスラエルに肩入れするアメリカであり、そのアメリカの姿勢は安保理決議に見られるように確実に世界から孤立しつつあるのです。

2024年1月1日
日朝協会会長 関原正裕





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