日朝協会の声明・談話など

2024年-
2020-23年
2017-19年
2012-13年
2009-11年
2007-08年
2005-06年
2002-04年

2014〜16年

オスプレイの飛行中止と配備撤回を求める

13 日夜、沖縄・普天間基地に配備されている米海兵隊のMV22オスプレイが名護市の東海岸浅瀬に墜落し、大破しました。

オスプレイは、構造的な欠陥機であるとともに、その航続距離の長さから、朝鮮半島への兵力と武器の迅速な運搬を可能とするものです。このオスプレイの配備撤回を求めてきた私たちは、今回の事故を踏まえ、オスプレイ飛行中止を緊急に求めます。

今回の事故により、高江のオスプレイパッドがいかに危険なものであるかが明らかになった以上、強権的な建設工事を直ちに中止するよう求めます。

事故を受けて稲田防衛大臣は14 日、在日米軍司令官に対して、原因究明と安全が確認されるまでのオスプレイ飛行停止を求めたとされています。しかし、オスプレイの一連の事故歴を見れば、2012 年におこなわれた日本政府の「安全宣言」がまったく根拠のないものであることは明らかです。このような欠陥機による訓練を全国に広げ、在日米軍や自衛隊に配備することは断じて許されません。

私たちは、北東アジアの平和構築に反する、以下の一連のオスプレイにかかわる計画を中止するよう強く求めます。

 1. 普天間基地へのオスプレイ配備の撤回と全国への訓練拡大の中止
 2. 陸上自衛隊が予定しているMV22 オスプレイの導入中止
 3. 東京・横田基地に配備予定のCV22 オスプレイの配備中止
 4. 千葉・木更津ですすめられている日米共用のオスプレイ整備拠点の撤去
 5. 甚大な被害が出ている沖縄・東村高江へのオスプレイパッドの建設中止

2016年12月17日
日朝協会 第3回全国理事会

朝鮮民主主義人民共和国の第5回核実験に断固抗議する 〜「核抑止力論」から脱却せよ〜

昨日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の朝鮮中央通信は、5度目の核爆発実験が成功したと伝えた。

これは、核廃絶を求める世界の多くの人々への背信行為であり、断固とした抗議を表明する。今年1月の「水爆」実験に前後する時期から相次いだ「ミサイル」発射とともに、これは北東アジアの平和にとって見過ごすことのできない大きな過ちであり、国際社会から強い非難があがっている。同時に、米韓合同軍事演習が繰り返されていることも、北東アジアの緊張を高めるものであり、これは中止されなければならない。

3月3日に全会一致で採択された国連安保理決議でのべられているように、北朝鮮は、6カ国協議への復活と2005年9月の共同声明に立ち戻るべきである。また、1953年7月27日の朝鮮戦争「休戦協定」を「平和協定」に変える取り組みを考えるなら、先ず、平和的な話し合いのテーブルにつくことが求められる。核開発が国家防衛の権利とするなどの「核抑止力論」から脱却することの重大性を、改めて指摘するものである。
2016年9月10日
日朝協会 会長 石橋正夫

新内閣の発足にあたり北東アジアの平和構築を推進するための要請書

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

8月3日、第3次安倍内閣(第2次 改造)が成立しました。

日朝協会は、安倍内閣が進めてこられた今日までの東アジア外交をふり返りながら、新しい各大臣の経歴を見させていただき、近隣諸国と友好親善を進められるのか大変心配しています。

この間日本では、国民的な反対運動を押し切って安保法制=戦争法が施行されました。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、38度線の休戦ラインを平和ラインにするために、アメリカは話し合いに応じてほしいと繰り返し「ミサイル」発射や核実験の予告が行われ、解決の道筋が混沌としています。韓国では、中国やロシアなどの大きな反対にもかかわらず、アメリカの執拗な圧力によってTHAAD(弾道弾迎撃ミサイルシステム)の配備が強行されました。

このような中で新内閣は北東アジアの平和構築を推進するために軍事優先ではなく、どのようなイニシャティヴを発揮するのか国民は関心を持ってみています。中国からは新内閣・閣僚に対して大きな危惧の念が伝えられています。

その中でも特に防衛大臣の稲田朋美氏は、衆議院議員になって以来、終戦の日(8月15日)とサンフランシスコ講和条約発効の日(4月28日)に、昨年まで毎年、靖国神社を参拝し、また、全世界の核兵器廃絶の世論に背を向け、「日本独自の核保有を、単なる議論や精神論ではなく国家戦略として検討すべき」と述べていることは、近隣諸国への配慮に欠ける態度であり「非核三原則」の国是にも反する考えは閣僚としての資質にもとる言動だと指摘され、国内でもこの方に重要な日本の防衛問題を任せてよいものかと大変心配されています。

私たち日朝協会は、1910年「韓国併合」から1945年8月敗戦に至る日本の朝鮮植民地支配・アジア太平洋地域への侵略戦争への責任を踏まえ必要な賠償などの事項の解決と日朝国交正常化、拉致問題の「解決」、六者協議(6カ国協議)の再開など、北東アジアの平和構築を推進するために、貴殿及び新内閣が、近隣諸国から信頼される積極的な施策を講じられることを心から要請します。
2016年8月24日
日朝協会 会長 石橋正夫

談話
北朝鮮は、更なる核実験、「ミサイル」発射を自制せよ
米韓は、過去最大規模の合同軍事演習を中止せよ
議長国・中国が提唱する6カ国協議など話し合いの場で解決せよ

現在、米韓の合同軍事演習「フォール・イーグル」が、過去最大規模で実行されている。これには、「斬首作戦」が含まれ、これまでを超えたきわめて挑発的な「演習」である。北朝鮮はこれに反発して、1 月の4 回目となる核実験、2 月の「ロケット」発射に続いて、更なる核実験と「ミサイル」発射を計画していると報じられている。これらは、日朝協会が先に発表した会長・代表理事声明で指摘したように、北東アジアの軍事的緊張をエスカレートさせるものに他ならない。ここに改めて、これらすべてを、即刻、中止することを求めるものである。

今なすべきは、6 カ国協議の議長国・中国が提唱するように、6 カ国ないし、5 カ国または当該の4 カ国の枠組みでも、話し合いのテーブルにつき、平和的な解決に向けて努力することである。当該の朝米、南北間の非軍事的な話し合いが期待されていることを各国政府は銘記すべきである。

2016年3月16日
日朝協会 事務局長 宮垣光雄

軍事的緊張のエスカレートを止め、南北「平和協定」化、日朝国交正常化を求める声明

1. 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、1月6日水爆実験と言われる4回目の核実験を行った。人類とは共存できない核兵器による核抑止力論については、日朝協会は即刻、抗議の会長声明を発表している。続けて、2月7日「人工衛星」を搭載した「ロケット」を発射し、宇宙空間の軌道にのせた。これは、長距離弾道ミサイル技術を用いているため、北朝鮮に「ミサイル」発射を禁じた国連安保理決議に違反しており、非難される根拠となっている。

一方で、毎年行われているアメリカと大韓民国(韓国)による合同軍事演習が、今月末より今年は過去最大規模で行われると報じられ、これには自衛隊も関与していると言われている。また2015年4月の日米新ガイドラインの問題があり、日本では、安保法制(戦争法)を実施しようとする動き、平和憲法「壊憲」の動きも見られる。北東アジアに軍事的緊張がエスカレートする事態すべてを直ちに取りやめることが必要である。

この背景にある「北朝鮮脅威論」の喧伝については、米朝直接交渉により北朝鮮の体制維持が図られることを北朝鮮は求めていることがすでに明らかになっている。

注)2003年8月第1回6カ国協議を前にした同年4月の米、朝、中の三カ国協議で、北朝鮮は「一括妥結図式(方式)」を提案した。

今こそ、北東アジアの平和構築のため六カ国協議を再開し、諸問題の早期解決に最大の努力をはらうべきである。

2. 南北関係については、2010年3月哨戒艇「天安号」沈没事件、同11月延坪島〔ヨンピョンド〕砲撃事件、昨2015年8月「地雷事件」などが発生しつつも、いずれも、平和的な話し合い解決により、全面戦争には至っていない。1953年7月に朝鮮戦争が終結した際の「休戦協定」が、恒久的な「平和協定」となることは、南北関係だけでなく、朝鮮戦争の当事者である、アメリカ・中国・北朝鮮の3カ国が平和的な共存関係を明確にするために重要である。

3. 日朝関係で考えるべきは、日朝平壌宣言で明らかな通り、懸案事項を包括的に平和的な話し合いで解決することである。そのためには制裁強化ではなく、日朝国交正常化交渉を再開することが求められている。今回のような軍事的緊張のエスカレートについては、直接に話し合いのテーブルにつける国交関係の樹立が肝要である。拉致問題「解決」についても、従来からの個別交渉方式も合意されている範疇で継続されるべきだが、国交正常化交渉の中で包括的に取り扱うことも充分に可能であると考える。

4. 日朝協会は、北東アジアの平和構築のため、政府・国家・政権間に話し合い解決を求めるとともに、国民・市民・人民同士の友好・交流のための努力をいっそう強めていく決意を改めて表明するものである。

2016年2月17日
日朝協会会長 石橋正夫
代表理事 田代博之
代表理事 船津弘
代表理事 小野寺昭
代表理事 大橋満

日本軍「慰安婦」被害者の要求を踏まえて、全面的な解決を求める

1. 昨年12月28日の日韓外相会談で、長年の懸案となっていた日本軍「慰安婦」問題について合意した、と会談後に両国外相が共同記者発表をした。合意は最終的かつ不可逆的に解決されることを確認するとしているが、合意文書やお詫び文の発表もなく、当事者である元「慰安婦」ハルモニたちの合意もなく、今後に残された課題がある。

2. 「慰安婦」問題は、1965年の日韓基本条約・同請求権協定締結時にはまだ表面化していなかったが、1990年代初めに韓国紙が取り上げ、91年に韓国在住の元「慰安婦」・金学順〔キム・ハクスン〕さんが勇気を奮って初めて実名で名乗り出て、東京地裁に日本政府の謝罪と賠償請求の提訴をした。そして92年にソウルの日本大使館前で元「慰安婦」ハルモニたちや支援する人々により水曜デモが始まり外交問題となった。93年の「河野談話」は、日本軍・官憲の関与を認め、お詫びと反省、歴史教育を通じて過ちを繰り返さないことを表明した。しかし賠償については、65年の請求権協定で「解決済み」とした。95年に「アジア女性基金」が設立され「償い金」を支給したが、韓国の元「慰安婦」ハルモニたちは日本政府の責任回避として受け取りを拒否した。加害の法的責任の明確化が問われたのである。

3. 「慰安婦」問題についての安倍首相の責任は重大である。「河野談話」の見直し発言をはじめ、安倍首相の右翼的歴史認識による強制連行否定の閣議決定、歴史教科書の記述やNHK の「慰安婦」問題の報道への政治的介入などが問題をこじらせ、日韓関係の悪化を招いた。今の時期にアメリカ政府の圧力によって日韓首脳会談が3年半ぶりに漸く実現し、問題解決に向かって動き出したが、元「慰安婦」ハルモニたちが求める解決とはならない「日韓政府間の合意」となった。

4. 今回の日韓外相会談で、元「慰安婦」ハルモニたちの名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しのための事業を行う措置として韓国が「財団」を設立し、これに日本政府の予算で資金10億円程度を一括拠出することで合意した。しかしながら、これは日本政府の基本的立場では「賠償金」ではなく、ましてや「少女像」(平和の碑)の撤去を前提としたり、ユネスコへの世界遺産登録に韓国が名を連ねないと約束したりしたのでは、元「慰安婦」ハルモニたちや支援の人々の理解が得られないことは明白である。

5. 今回の日韓外相会談における合意が元「慰安婦」ハルモニたちや支援の人々などの関係者の頭越しに決められたことに韓国内での反発が報じられている。しかし元「慰安婦」ハルモニたちは既にかなり高齢であり、「全面的な解決」は急がなければならない。加害責任を負う日本政府の誠意ある措置の実行が求められている。

日朝協会は、1990 年代初頭から日本軍「慰安婦」問題へ取り組んできたが、今回の合意が抱えている諸問題の打開により、「全面的な解決」が一刻も早く実現するため引き続き尽力することを表明するものである。
2016年1月15日
日朝協会

朝鮮民主主義人民共和国の水爆実験に抗議する

本日、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)は、4回目といわれる核実験・水爆実験を行った。言うまでもなく、水素爆弾を含む核兵器は人類とは共存できない存在であり、即刻、廃棄されるべきである。核兵器のない世界を作る努力が続けられている中、北朝鮮の核実験は、いかなる理由があろうとも許されるものではない。

北東アジアの平和構築のために、6者協議(6カ国協議)の早急な再開が求められている。

日朝協会は親しき友人として、北朝鮮が核抑止力論に基づいた核開発を続けることが世界から孤立すること、今後、核実験を継続することが無いように、率直に抗議の意思を伝えるものである。

2016年1月6日
日朝協会会長 石橋正夫

新年のご挨拶

2006年の第1次安倍内閣は1年間で投げ出しましたが、3年余の民主党政権後の2012年12月、第2次安倍政権になってから4年目の今年の元旦を、私はおめでたいというより今迄以上に非常な緊張感をもって迎えました。

安倍首相の言葉は嘘ばかりで聞くに堪えませんが政治権力を持っていますから聞き流す訳にはいきません。日本国民の命と安全を守ると言って憲法違反の「戦争法」を強行した罪は絶対に許すことはできません。

戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が呼びかけている「戦争法の廃止を求める統一署名」の力強い運動が開始されています。この運動を成功させるために私も全力を尽くす決意です。

日韓・日朝関係は、多くの問題が未解決のまま年を越しました。日韓関係ではやはり歴史認識問題が大きな障害になっています。

日本コリア協会かながわ県連が、県連共同代表の大図健吾さんの講演「日韓基本条約から50年―条約を検証する」を昨年11月にパンフにして発行しました。日本軍「慰安婦」問題を含め未解決となっている問題の背景が検証されています。これらは決して過去のことではなく今後の日本と韓国の相互の理解と友好を深めるうえで勉強になりました。

北朝鮮との関係も安倍政権の敵視政策を止めさせて核・ミサイル・拉致問題など、誠意ある対話を重ねることこそ喫緊の課題です。

日朝協会の果たすべき役割は今年も一層重大です。今年もさらにがんばりましょう。

2016年1月
日朝協会会長 石橋正夫

総会宣言

日朝協会は2015年11月7日、8日の2日間にわたり第44回全国総会を開催しました。総会では各地の運動の経験が討議され、日朝友好運動をより強く、大きく、多彩に取り組む為の大会決議を採択しました。

集団的自衛権をより具体化し、アメリカと共に「戦争をできる国づくり」をおこない、海外で日本が「殺し、殺される」道を歩む事になる戦争立法(安保法制)を強権的手法によって国会で採決された中で第44回全国総会は開催されました。

私たち日朝協会は東アジアの平和と友好を破壊する戦争立法の廃案にむけ全国各地で団体・個人と共同し、空前のたたかいを広げました。戦争立法の成立にむけた動きの中には中国・朝鮮民主主義人民共和国(以下・北朝鮮)を仮想敵とした脅威論が流布され、大韓民国(以下・韓国)海軍参謀総長が戦争立法成立後に「北朝鮮を抑止するために(日本の自衛隊と)協力する必要がある」と発言するなど、戦争立法の成立は軍事的緊張を激化させ、東アジアでの平和構築と朝鮮の自主的・平和的統一への道筋を遠のけるものでもあります。

この間の戦争立法に反対するたたかいの中では立憲主義を守り、平和憲法を守り、廃案にむけて野党の共闘をのぞむ声が日に日に高まり、法案成立後も集団的自衛権行使の閣議決定撤回、戦争立法の廃止をもとめる連合政権の樹立をもとめる声が党派を超えて広がり、歓迎をされています。

今年は日本の敗戦70年の節目の年であり、「安倍談話」が発表されました。安倍談話では日本の侵略と植民地支配、日本軍「慰安婦」など、戦争責任については日本国の首相としての正面からの立場の表明ではなく「『河野談話』『村山談話』を引き継ぐ」とし、核心部分を語る事をせず、曖昧な言い回しに止まりました。

11月に開催された日本、韓国、中国の首脳会談では侵略と植民地の歴史問題が共通の焦点になりました。3年半ぶりに日韓首脳会談が開催された事は重要ですが、日本軍「慰安婦」問題について、1965年の日韓請求権協定などを踏まえ、「補償の問題は解決済み」との態度を取り続けています。日韓間で最大の懸案となっている日本軍「慰安婦」問題について、日本政府は被害者の納得できる解決を行うべきです。引き続き、日韓両国での会談を続けるよう、日本政府に要望します。

東アジアの平和と築く上で北朝鮮も含めた核保有国に対して被爆70周年の今日、核兵器廃絶を求めることは喫緊の課題です。北朝鮮との確かな外交ルートの確立や平和的な交渉を行うためにも日本と北朝鮮との国交正常化は求められています。私たち日朝協会はもはや実効性に乏しくなっている制裁一辺倒の反北朝鮮政策には反対します。日朝協議、六カ国協議の場での平和的、外交的な対話を求めると共に政治体制は違いますが、民間レベルでも文化的・経済的交流を発展させることを強く望みます。

在日朝鮮人との交流も積極的に行います。朝鮮高級学校への「高校無償化」の実現のための裁判支援、自治体による補助金の復活などを求め、朝鮮学校支援の取り組みを強めます。

もっと幅広い人々が日朝協会の活動に興味や関心をもって参加できるよう、南北朝鮮の文化や芸術などの鑑賞や在日朝鮮人との交流なども含め、要求を重視した明るくて楽しい日常活動を進めます。在日朝鮮人組織(総聯傘下団体、民団傘下団体など)や朝鮮学校、諸団体が開催する企画などにも積極的に参加し、取り組みの幅を広げましょう。ヘイトスピーチなど民族差別を許さない取り組みをすすめます。

日朝友好運動は日本外交を平和で民主的な路線へと転換させる運動でもあります。圧倒的な国民の平和を望む声と力をあわせ、創立60周年の歩みに確信を持ち、戦争立法をなくし、平和で民主的な日本を築くために奮闘しましょう。この創立60周年の節目の年に全国各地の地方組織で会員拡大に大胆かつ積極的に取り組み、組織建設に思い切って力を注ぎましょう。

以上

2015年11月7日
日朝協会 第44回全国総会 採択

全国総会特別決議

日朝協会は、11月7日と日、国立オリンピック記念青少年センターで、第44回全国総会を開催しました。総会に参加した会員は、会の目的である「日本と朝鮮両民族の理解と友好を深め、相互の繁栄と平和に貢献する」ために取り組んできた諸活動を交流し、これからも新たな決意で日朝韓友好親善のために奮闘することを誓い合いました。

2015年の北東アジアの情勢は、11月1日に日中韓サミットと日中首脳会談が行われ、経済発展の協議と共に、軍事衝突を起こさない努力が行われています。最近ではアセアン諸国の平和外交政策が、北東アジアの平和構築のモデルになってきています。

しかし日本はアメリカ、韓国との軍事同盟を強化し、安保法制(戦争法)成立を基にして、10月20日には日韓国防相会議を行い、11月2日に日韓首脳会談を行い、3日、日米両政府は「同盟調整メカニズム」と「共同計画策定メカニズム」を設置し、運用に入ることで合意するなど日米韓3国が、北東アジアにおける軍事的緊張を作り出しています。

日朝協会は、去る8月15日、安倍首相による「70年談話」に抗議の談話を発表しましたが、そこで指摘した、@、正しい歴史認識にたつこと A、未解決の戦後補償問題に真摯な態度で対応すること、B、戦争する国づくりをやめることが、日本の進路と日朝韓の友好親善を進めるうえで適切な指摘だったことが一層明らかになりました。これからの日朝韓の友好運動は、多くの発言があったように困難が横たわっているように見えますが、国際的には、戦争のない平和な社会の構築と、東アジアの平和協力構想の実現に向けて協議が進められ、国内的には、戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府の実現への取り組みと、各種の一点共闘の発展などがあり、これらの運動の中で独自活動を工夫すれば、日朝協会の発展方向を必ず見出すことができると確信を深めることができました。

総会で明らかになったもう一つの重要なことは、日本政府が、もっとまじめに日朝・日韓友好親善のために努力してほしい、せめて国民間同士の「民間交流」の邪魔をしないでほしいということでした。



そこで本総会の名において次のことを日本政府に申し入れることを確認しました。

@友好親善の一番の障害物は、大小の軍事衝突や戦争です。「日米韓軍事同盟」で北朝鮮や中国とトラブルを起こさないようにすること
A北朝鮮と一日も早く国交正常化を実現させ、諸懸案の解決に当たること。

B韓国との「慰安婦問題」は急いで解決すること。

C6カ国協議の開催に努力し、北緯38度線の休戦ラインを取り払い、平和友好ラインとして整備するよう努力すること。

D身近な在日朝鮮・韓国人が安心して暮らせるようを世界人権宣言や、日本国憲法を守って、安心して暮らせるよう保障すること。ヘイトスピーチを禁止する法整備をはかること。

E日本人が、世界、とりわけアジアで恥ずかしい思いをしないよう近現代の歴史を事実にもとづいて学校や社会教育の場で正しく教えるようにすること。

 以上、本部役員を先頭に、総会に参加した会員が、日朝韓友好親善のために全力をあげて奮闘することを決議します。

2015年11月7日
日朝協会 第44回全国総会

安倍首相による「戦後70年談話」に抗議する

日朝協会は、「戦後70年談話」が、1995年の「村山談話」を継承し、憲法第9条を生かした平和外交で、北東アジアと世界の平和の構築・北東アジア平和協力構想に役立つこと、そして朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化を含む関係諸国との懸案事項を解決する道筋を示されることが、世界の諸国から期待されていると考えていました。

ところが安倍首相が発表した「戦後70年談話」には、「侵略」、「植民地支配」、「痛切な反省」、「心からのお詫び」の文言を組み入れてはいるものの、村山談話で示された、日本が「植民地支配と侵略」を行ったとする「歴史認識」を認めていません。具体的にどのような行為が侵略にあたるか否かについて、安倍首相は記者会見で、歴史家の議論にゆだねるべきだという持論を述べました。

「談話」では、1904年〜1905年の日露戦争が「植民地支配の下にあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけ」たとしていますが、これは歴史の事実の歪曲以外の何ものでもありません。日本は1875年雲揚号(江華島)事件以降、武力で朝鮮を侵略し、日露戦争の終結をまたいで1905年第二次日韓協定・日韓保護条約〔乙巳ウルサ條約〕を強要し、当時の大韓帝国からその外交権を奪いました。そしてその5年後に、違法な「韓国併合」を行いました。この歴史を美化することは絶対に認められないものです。

日本軍「慰安婦」問題について、「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません。」と一般化し、犠牲者ハルモニたちが求める、日本軍「慰安婦」問題の解決への意思がまったくみられません。また、韓国での元徴用工らへの損害賠償には一顧だにしていません。

その上、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と無責任なことを言いました。安倍政権が過去の日本の侵略を認め、謝罪し、憲法第9条を生かした平和外交を行うことを「談話」ではっきり表明すれば、謝罪を続ける宿命は解消されたはずでした。

「談話」の最後で述べられた『積極的平和主義』については、記者会見で「戦争法案」について「戦争を未然に防ぐためのものだ」などと主張し、「日米同盟が完全に機能する、そのことを世界に発信することによって紛争を未然に防ぐ力はさらに強くなっていく」と述べ、「戦争法案」を強行する姿勢を示しました。このことは、「談話」が平和の構築を目指すものではなく、「戦争法案」を進めるものであり、日本国民としては到底認めることはできないものです。

日朝協会は、日本の敗戦70年に当たり、正しい「歴史認識」にたつこと、そして未解決の戦後補償問題に日本政府が真摯な態度で対応することを強く求めます。その上で、「戦争する国づくり」宣言ともいうべき「談話」に断固抗議するものです。

2015年8月15日
日朝協会会長 石橋正夫

親しき友人である韓国・朝鮮の人々への約束破り、戦争法案の衆院通過に抗議する

「海外で戦争をする国」につくり変えようとする違憲立法・戦争法案を、安倍自公政権は多くの国民の反対を押し切り、15日に特別委で強行採決し、本日衆議院を通過させた。

これは、70 年前の日本敗戦後、日本国憲法第9 条を含む平和憲法により、二度と侵略戦争はしないと表明した国際公約破りであり、親しき隣人・アジアの人々への裏切りである。また、世界の良識への冒涜でもあり、まさに暴挙以外の何物でもない。日朝協会はここに、断固とした抗議の意思を表明する。

昨年7 月1 日、従来からの憲法解釈に反する「集団的自衛権」の行使容認の閣議決定は、国家権力を縛る憲法に対する立憲主義に違反する。また、今年4 月29 日アメリカ議会演説で、違憲立法を「この夏までに、必ず実現」と、時期も明言した「公約」は、安倍政権のアメリカ言いなりの姿をさらしだしている。この2 点を、今回の暴挙の背景として指摘せざるを得ない。また、安倍首相らによる「日本を取り巻く安全保障環境の変化」との口実は看過することができない。

日朝協会は戦争法案阻止へ、空前の国民的たたかいの一翼を担って、今後ともいっそう奮闘する決意をここに表明するものである。

2015年7月16日
日朝協会会長 石橋正夫

新年のご挨拶

2015年を向かえました。会員・読者の皆さまのますますのご健勝を祈念するとともに、今後とも日朝協会に対する一層のお力添えを心からお願い申し上げます。

本年は、日朝協会の全国組織が結成されて60周年の年です。また、わが国がポツダム宣言を受諾、韓国・朝鮮の人々にとっては、日本帝国主義の植民地支配から解放されて70周年を迎える年です。そして「日韓基本条約・請求権協定」締結50周年でもあります。「日朝平壌宣言」に基づく日朝国交正常化と懸案事項の解決はまだ目処がついていませんが、政府間協議は再開されています。

私たちは、日本と朝鮮の両民族の理解と友好を深め、相互の繁栄と平和に貢献していこうととの日朝協会結成の原点に思いを致し、希望と確信を持って2015年の大きな節目の年を、いっそう元気を出して頑張っていく決意です。

昨年12月に安倍自公政権は独善的な目的で突如、国会を解散しました。そして施行された第47回総選挙は戦後最低の投票率となりましたが、与党の自民、公明が3分の2を超える議席を占めました。第1次、第2次安倍政権は右翼的ナショナリズムを煽動し、韓国・朝鮮、中国などとの近隣外交に緊張関係を作り、秘密保護法の強行、集団的自衛権行使容認の閣議決定など危険な暴走を行ってきました。そして9条を含む改憲に手をつけるのは必至でしょう。しかし、沖縄での選挙戦はたいへん貴重な教訓を与えました。辺野古新基地建設反対の「建白書」で保革の枠を越えてのたたかいは、公約を裏切った自民党を打ち破りました。安倍政権の暴走と真正面から対決した共産党の躍進も多くの国民を励ましました。民意に背を向ける政治勢力に未来がないことは歴史が示しています。みんなで力を合わせ2015年を良い年にしようではありませんか。

2015年1月
日朝協会会長 石橋正夫

日朝国交正常化という目的実現に向かって、すべての日本人に関する調査を同時並行的に進め、その速やかな解決を求める

日本政府の「拉致問題が最重要課題」論は、日朝合意になく国際的に通用しない。

日朝合意は、「全ての日本人に関する調査」を4つのカテゴリー【@1945年前後に朝鮮半島北部で死亡した日本人の遺骨及び墓地、A残留日本人、Bいわゆる日本人配偶者、C拉致被害者及び行方不明者】としています。安倍内閣は、「拉致問題が最優先」だと国内向けに繰り返しています。拉致問題はもちろん重要課題の一つですが、北朝鮮との外交上は、新たに持ち出された、合意にない主張に過ぎません。

菅官房長官は「拉致問題が最優先だ。(北朝鮮による初回の通報には)当たらない」と述べ、遺骨の返還を求める遺族の思いを切り捨てる態度を明らかにしました。


拉致問題を含む日本政府の交渉態度と国民世論

北朝鮮による拉致問題は、もちろん日本への主権侵害である、日本人を含む被害者への重大な人権侵害であり、許されない国家犯罪です。拉致被害者家族連絡会は、今回、北朝鮮の反応次第では、日本政府が制裁も辞さない強い態度を取るべき、との立場を明らかにしていました。

一方で、行方不明者とされる「特定失踪者」は、北朝鮮に拉致された可能性がある、逆に言えば拉致ではないかもしれない人を含んでいます。この家族の人たちは「自分たちの問題を忘れないでほしい」と訴えたと報道されています。彼らが言うように、北朝鮮が行う拉致問題に関する再調査には、政府認定の拉致被害者のほかにも特定失踪者や戦後日本に帰れなくなった日本人も対象とすることが合意されています。


日朝合意後の、北京、瀋陽と続いた日朝協議を踏まえた今回の平壌での協議では

日朝合意の第一、1945年日本の敗戦前後に朝鮮半島北部で亡くなった日本人の遺骨問題ついては、特別調査委員会担当者が「遺骨問題の調査で分かったことを通報する」と発言した、と報道されています。このカテゴリーの人々は、日本の朝鮮植民地支配・中国への軍事侵略の犠牲者でもあり、その数21,600体の遺骨が未返還といわれ、この間、人道上の問題として北朝鮮の誠意ある対応を得て、訪朝墓参が実現しています。

今後取り組むべきは、日本政府が他国・他地域には実施している遺骨収集事業が、北朝鮮に対しても、元軍人・軍属と民間人の区別や制限を設けず、実行されることです。これは、約70年もの間に本来、実現されておくべきだった戦後処理の問題です。その背景には、2002年9月17日「日朝平壌宣言」で日朝国交正常化交渉開始を明記するまで、放置とも言うべき状況があったという点が指摘されます。

第二、第三の、在留日本人と、在日朝鮮人の配偶者とともに北朝鮮に渡った、いわゆる日本人妻に関する分科会では、この調査に関する説明も行われたと報じられています。残留日本人が1440人、日本人妻は1800人余りにのぼると言われています。

第四の拉致問題を、日本側は改めて取り上げ、調査の現状を問いただし、特別調査委員会は「関連場所を改めて調査するとともに新たな物証、承認などを探す作業を並行している」と強調しましたが、拉致に関する初回通報に関しては、「途中段階で憶測を招く説明は避ける」このことでした。これに対し、家族らは失望、と伝えられていますし、特定失踪者問題調査会は「行方不明者の家族たちの期待感が高まっていただけに、何も見えない現状に怒りを感じる」と話していることに、思いを馳せるべきです。

話し合い外交の継続を

これらの協議報告を受けた安倍首相は30日(木)夜、今回の日朝協議で北朝鮮から「過去の調査結果(政府認定拉致被害者の残る12名にては、「8人死亡」、ほかは「未入国」とされていた)にこだわらない」という見解を引き出したことを明らかにし、平壌に政府代表団を派遣した意義を強調したと言われています。

今後は、日朝平壌宣言で明らかにしたように、「相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意」が表明された通りに実行されなければなりません。

そして「拉致先決論」に陥ることなく、「日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し」「国交正常化を早期に実現させる」ことこそが求められていると考えます。

2014年11月
日朝協会会長 石橋正夫

日朝協議の進展に期待する

10月20日、日本政府は伊原純一・アジア大洋州局長ら交渉当事者を訪朝させることを正式決定し、月内にも訪朝団を派遣すると発表しました。

日朝協会は、5月28日第3回日朝協議での合意を「日朝国交正常化への前進として歓迎すべき内容」とし、その目的として「日朝平壌宣言に則って、不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、国交正常化を実現する」と明記されていることを重視してきました。

これに基づき北朝鮮側は4つのカテゴリー(1.1945年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人遺骨及び墓地、2.残留日本人、3.いわゆる日本人配偶者、4.拉致被害者及び行方不明者)に関する「全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施する」としており、その後の拉致被害者を含む調査結果に注目が集まる中、9月10日、北朝鮮の宋日昊[ソン・イルホ]・朝日国交正常化担当大使は共同通信の単独インタビューに応じ、「特別調査委員会」の調査報告に関して述べた中で、個人的な考えと断りながら、「もっとも便利で簡単な方法は日本側の関係者が平壌に来て、第1次調査結果の報告を特別調査委員会のメンバーから直接受けるのが良いと思う」と述べていました。

日朝協会はこれを受けて、10月10日に、外務省北東アジア課・担当事務官との懇談の中で、日朝協議を平壌でも継続すべきとの要請を行ってきましたし、また、翌11日の第4回全国理事会決議でも「誠実な外交協議が継続されることが重要」としてきました。br>
2014年10月21日
日朝協会 事務局長 宮垣光雄

集団的自衛権の行使を容認する安倍内閣の閣議決定に断固抗議し、2度とアジア人同士が殺し合うことを決して許さない決意を改めて表明する!

本日、安倍内閣は、日本国憲法第9条を解釈改憲し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行なった。これは、日朝協会が本夕にも行った安倍内閣総理大臣、自由民主党と公明党への抗議でも明らかの通り、19世紀後半からの明治政府による朝鮮侵略・植民地支配、20世紀前半における中国やアジア・太平洋諸国への軍事侵略など「政府の行為によって再び戦争の災禍が起こることのないやうにすることを決意」した、日本国憲法前文に基づき規定された第9条の戦争の放棄、戦力不保持、交戦権否認を踏みにじる暴挙である。

この閣議決定による解釈改憲という手法については、主権者である日本国民に信を問うこともないなど「改憲論者」からも批判が出るなど、決して認められないものである。

私たちは、安倍政権の日本国憲法第9条の明文改憲、そして第96条に規定されている、各議員の3分の2以上との憲法改正発議要件の改悪を阻止してきた。そして「海外で戦争ができる国」づくりへの策動を許さす、平和を愛する広範な日本国民と、そして、2度と侵略戦争を行なわないとの国際公約を受け入れてくれたアジア諸国人民とともに、平和と友好の東アジア地域を作りのためさらに力を尽くすものである。

2014年7月1日
日朝協会 会長 石橋正夫
代表理事 大橋満
代表理事 船津弘
代表理事 小野寺昭
代表理事 高柳美智子
代表理事 庄司捷彦

「日朝合意」を歓迎し、一層の進展を望む

2014年5月26日〜28日のスウェーデン・ストックホルムでの日朝政府間協議で、「日朝平壌宣言にのっとって不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、国交正常化を実現するために真摯(しんし)に協議」を行った上での合意内容が、5月29日に発表になった。

その内容は、日本側が「北朝鮮側と共に、日朝平壌宣言にのっとって不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、国交正常化を実現する意思を改めて明らかに」した上で、北朝鮮側が「1945年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨および墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者および行方不明者を含む全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施する」、「全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施し、最終的に、日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明」し、そのための「調査を具体的かつ真摯(しんし)に進めるために、特別の権限(全ての機関を対象とした調査を行うことのできる権限)が付与された特別調査委員会を立ち上げること」とした。そして日本側は、その「調査を開始する時点で」、人的往来の規制措置を含む「特別な規制措置」などを解除するとした。

また、日本側は「日本人の遺骨問題については、北朝鮮側が遺族の墓参の実現に協力してきたことを高く評価し、北朝鮮内に残置されている日本人の遺骨および墓地の処理、また墓参について北朝鮮側と引き続き協議し、必要な措置を講じること」とし、「在日朝鮮人の地位に関する問題については、日朝平壌宣言にのっとって誠実に協議することと」としている。

日朝協会は、これらの合意内容を、拉致問題の「解決」を含む、日朝政府間に存在する「諸懸案」の話し合いの第一歩の成果として、また、北東アジアにおける平和協力構想の実現に向けたものとして、歓迎する。

同時に、この合意の冒頭に記されているように、日朝平壌宣言に基づき日朝国交正常化の方向へこれらの話し合いが前進することや、「朝鮮半島の核問題の包括的な解決」(日朝平壌宣言)がなされることとともに、「在日朝鮮人の地位に関する問題」で「誠実に協議」し改善されることを心から望むものである。さらに、日本に残置されている「強制連行」被害者の朝鮮人遺骨返還についても、人道主義的立場で今後、日朝政府間で協議が行われることを期待する。

なお、安倍政権は今、解釈改憲により集団的自衛権行使を容認し、「海外で戦争できる国づくり」を行なおうとしているが、これは、この合意にある「日朝間の信頼を醸成し関係改善を目指すため、誠実に臨む」ということに全く反しており、日朝関係だけでなく、日本とアジア諸国との国際公約である平和憲法9条を改悪することに他ならない。日朝協会は、これらの安倍政権の「暴走」が拉致問題の「解決」にもブレーキをかけることにもなることを指摘し中止することを求めるものである。

2014年5月30日
日朝協会 会長 石橋正夫

「海外で戦争できる国」づくりに断固反対! 憲法解釈変更・集団的自衛権の「限定」行使を、世論で阻止しよう!

5月15日、安倍首相は自らの私的諮問機関「安保法制懇」報告を受け、歴代政権が禁じてきた海外での武力行使・集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更を検討していく考えを明らかにした。昨年12月の「特定秘密保護法」強行可決は、日本が海外で戦争ができるようにしたとき、情報を国民に隠すためともいわれている。

日朝協会は、朝鮮植民地支配とアジア侵略に命がけで反対してきた日本の良心を受け継ぎ、2度とアジア人同士が殺しあうようなことが起きてはならないと、韓国・朝鮮の人々との友好・親善に努めてきた。安倍首相が同日の記者会見で示した「事例」について、自民党の高村正彦副総裁が「朝鮮半島有事」を想定していることに満身の怒りを禁じえない。

これらの安倍暴走については、日本弁護士連合会が、その行使容認に反対との村越進会長声明を発表し、自民党元幹事長の加藤紘一さんはじめ自民党の中からも、解釈改憲は誤りと批判が出ている。また、憲法は権力を縛るものであり安倍改憲は根本が間違い、との見解が明らかにされている。

日朝協会は、「限定」行使などといった目くらましに惑わされることなく、時の政権の判断で憲法の根本を覆そうとする暴走に断固反対し、全力で阻止することを表明する。

2014年5月21日
日朝協会 会長 石橋正夫

平壌・マンション崩壊事故の犠牲者に哀悼の意を表明します

5月13日、平壌市中心部で建設中だった23階建てのマンションが崩壊事故が起こったことに関し、18日に朝鮮中央通信が「平壌市平川区域の建設現場で、住宅施工をずさんに行い、それに対する監督や統制をまともに行わなかった労働者の無責任な行動により、重大な事故が発生し死傷者が出た」と報じました。その犠牲者の数は、数多く、とか、数百人、とかと報じられています。また、複数の国営メディアが「内閣や朝鮮人民軍、平壌市などの幹部が被害者家族に会って事故について謝罪した」とされています。

日朝協会は、韓国でのセウォル号事件に続き、今回の、友好の相手である韓国・朝鮮人の痛ましい事故に対し、心からの哀悼の意を表明するものです。

2014年5月21日
日朝協会 会長 石橋正夫

沈没したセウォル号の犠牲者とご家族の皆さまへ心から哀悼の意を表します

親愛なる大韓民国の皆さま、私は、4月16日に珍島沖で沈没した旅客船セウォル号に乗船されて犠牲となられた皆さま、そしてご家族の皆様へ、心からの哀悼の意を表します。本日には、犠牲者の数が100名を超えたと報道されています。前途ある高校生を含む犠牲者とそのご家族のお気持ちは察するに余りあります。

私は、韓国社会全体の深い悲しみを想うとき、人命の貴重さや尊さにあらためて心をはせざるを得ません。20世紀前半の日本の朝鮮植民地支配とアジア太平洋への侵略戦争では、多くの韓国人の皆さんにも大きな犠牲を強いてきました。2011年3月11日に発生した東日本大震災の時、皆様方は、多大なる救助と救援の労をとってくださいました。

私たちが、平和で、安全と安心が確保される日々が送ることができますよう、2度とこのような不幸な出来事が起こらないことを願ってやみません。

2014年4月22日
日朝協会 会長 石橋正夫

NHK籾井新会長は即刻、退陣せよ!

NHKの籾井勝人(もみい・かつと)新会長が1月25日の就任会見で、「従軍慰安婦、どこの国にもあった」とし、従軍慰安婦について日本に補償を求めている韓国を批判するだけでなくさらに、フランス、ドイツの名を挙げた。また同氏は、NHKの海外向け国際放送については、尖閣諸島、竹島という領土問題について「明確に日本の立場を主張するのは当然。政府が右ということを左というわけにはいかない」と述べ、政府見解を積極的に伝える考えを強調した、とされている。

また同日、NHKのNEWS webでの籾井勝人新会長の記者会見のニュースでは、日本軍「慰安婦」についての妄言にはまったく触れておらず、「不偏不党や公平をうたった放送法の順守に努めるとともに、国際放送の充実に取り組む考え」を示した、とされている。

日朝協会はNHKに対して宮垣事務局長名で、籾井会長の記者会見の場で、「私がまず第一に挙げているのは放送法の順守で、放送法に沿った経営をやっていくことが、われわれに課された重大な任務だ」と述べたとの情報を流していることを指摘した上で、@「慰安婦」がフランス、ドイツにあったとする証拠の明示、A「政府見解を積極的に伝える考え」が「不偏不党や公平をうたった放送法の順守に努める考え」と明らかに矛盾する点への疑問に対して「応え」るよう要請した。

籾井氏は昨年12月にNHK経営委員会から会長に選出されたばかりで、経営委員側からは「外交問題に発展しかねない。選んだ側の責任も問われる。国際放送の役割についても事前に十分説明したのに、正しく理解していない」と失望の声がもれた、とされており、「NHK内部から」も「会長の資質を疑問視する声が出始めて」いる、とも伝えられている。

日朝協会は、広範な良識ある日本国民や良心的にメディアで働く労働者と共に、原点に立ち戻ったジャーナリズムを期待するとともに、明らかに不適切な籾井勝人氏が会長職から退陣することを求めるものである。

2014年1月29日
日朝協会 事務局長 宮垣光雄

自衛隊が関与する米韓合同軍事演習を中止せよ

「北朝鮮が2014年1月末から3月初めにかけて挑発してくる可能性がある」と韓国の国防相が昨年12月17日に述べたと伝えられている。これに対して日経ビジネスラインは昨年12月25日付けで、「3月に始まる米韓合同軍事演習『キーリゾルブ』を口実にするため」との見方を、韓国紙報道として伝えた。

昨年を振り返れば、3月1日から4月末までの間の、定期的と言われる「フォール・イーグル」(米軍1万、韓国軍20万)に加えて、3月11日からの「キー・リゾルブ」(米軍3500、韓国軍1万)という、米韓合同軍事演習が立て続けに行われた。これらの経過は、朝鮮民主主義人民共和国にしてみれば、軍事挑発以外の何ものでもない。

もともとこの米韓合同軍事演習は、韓国・朴正熙(パク・チョンヒ)政権時代の1976年に世界有数の規模とされた総合演習「チームスピリット」が、94年の米朝枠組み合意で中止された代わりに、在韓米空軍基地防衛のための演習だった「フォール・イーグル」(若ワシ)の規模を拡大し、2002年からは、戦時増員演習(RSOI)と同時期に実施し、「朝鮮半島有事」に備えた総合演習の性格を強めたものである。また日本の自衛隊も、この米韓合同軍事演習に関与してきている。

これらは、2000年6月南北首脳会議後の6・15南北共同宣言、2005年9月の第4回6か国屋協議(6者協議)に関する共同声明の精神に反し、昨年5月に韓国・朴槿惠(パク・クネ)大統領自身が提唱した「北東アジア平和協力構想」など、北東アジアの平和構築のため関連諸国の人々の努力に背を向け、朝鮮半島の緊張を高めることに他ならない。

日朝協会は、日本政府・安倍政権の誤った歴史認識を正す取り組みとともに、米韓両国政府に、米韓合同軍事演習中止を強く求めるものである。

2014年1月10日
日朝協会

新年のご挨拶

2014年を迎えて何よりも会員・読者のみなさんの益々のご健勝を祈念いたします。併せて今年も日朝協会に対するご支援ご協力を心からお願い申し上げます。私たちも日朝友好運動のいっそうの前進をめざして頑張って参ります。

第2次安倍内閣が発足して1年が経ちましたが、わが国の政治情勢も北東アジアをめぐる情勢もますます激動しています。国内情勢では安倍内閣の反動的暴走が大問題と言わなければなりません。安倍首相は政権発足早々に「村山談話」「河野談話」の見直しを表明し、韓国、中国を挑発しました。昨年7月の参院選でも第1党となり衆参のねじれがなくなるや選挙公約も民意も無視して暴走をはじめました。秋から年末にかけての臨時国会では、憲法を踏みにじり民主主義を圧殺する秘密保護法を審議も充分尽くさず数を頼んで強行成立させました。この暴挙に対して保守的な立場の人たちからも批判と懸念が出ています。国内メディアの世論調査では内閣支持率が急落しています。国民の怒りが高まっていますが秘密保護法を撤廃する運動が開始されています。私たちもこの運動を大きく発展させるために大いに努力していく決意です。

北東アジアをめぐる情勢はなかなか複雑な動きを見せています。韓国の朴大統領が「北東アジアの平和協力構想」を提起して注目されています。わが国でも日本共産党が同様の構想を提唱しています。賛同が大きく広がって政治を動かすようになることを願うものです。朝鮮半島の非核化を目指す6ヶ国協議は2005年6月、画期的な「共同声明」に合意しましたが現在中断されています。昨年10月、国連総会第1委員会で発表された「核兵器の人道上の影響に関する共同声明」が125ヶ国の連名で発表され、核兵器廃絶に向けた国際世論の拡がりと高まりを示しており、朝鮮半島の非核化につながっていくことが期待されています。他方では中国が防空識別圏を設定、韓国も呼応して既存の防空圏を拡大しました。またオバマ政権は米国の基本路線の軍事的覇権主義を継承しつつ多国間や2国間の外交交渉を行うという戦略のもとで日米同盟、韓米同盟を強化しています。わが国でも沖縄の基地問題は沖縄の人たちの限界を越えていますが韓国でも同様です。朴政権はそのような中で中国との関係強化に力を入れています。昨年6月の韓中首脳会談での「共同声明」では朴大統領が提起した「北東アジア平和協力構想」を中国側が賞賛し、原則的に支持することを謳っています。10月のASEANプラス3首脳会議でも参加首脳たちに提起し歓迎されているということです。安倍首相が秘密保護法の制定に続いて次に狙っている「集団的自衛権」の行使容認、改憲による「国防軍」の創設で日米軍事同盟の強化を目指しているのとは大きく違っていると思います。世界の政治の大きな流れはアメリカ中心の軍事同盟を解体して平和の地域共同体を発展させる方向です。

日韓関係は現在最悪の状態といわれています。竹島(独島)の領有権問題は多少先送りするとしても日本軍「慰安婦」問題は急がなければなりません。民間団体による「立法化」の動きが再度動き出してきていますが、被害女性の人たちが高齢になっています。これ以上遅らせるわけにはいきません。意見が違う問題は話し合いをして一致点を探る努力をするべきです。あれこれの言い訳をするのではなく、また歴史を偽造することなく加害責任を認めることが問われています。

北朝鮮の張成沢氏のことは既に「会長談話」を出しました。北朝鮮の政治体制をどう見るかは別としてその政治動向は北東アジアの平和と安定に大きな関わりを持っています。日朝平壌宣言、6ヶ国協議の共同声明に基づいて諸懸案問題の解決と日朝間の国交正常化等の実現ができるよう、2014年がその年になることを切に願っています。

2014年1月
日朝協会会長 石橋正夫





日朝協会の主張にもどる
ホームに戻る