日朝協会の声明・談話など

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2007〜2008年

田母神航空幕僚長更迭に関する談話

田母神俊雄自衛隊航空幕僚長(当時)は10月31日に公表された『日本は侵略国家であったのか』という文で、過去の日本の侵略戦争を正当化・賛美し、現在、集団的自衛権が行使できないことや攻撃的兵器保有が禁止されていることに不満を述べている。国の実力組織の1つである航空自衛隊を国内外に代表する職にある者がこのような主張をすることは、単に公務員の憲法尊重擁護義務違反にとどまらず、日本国憲法に基づく戦後政治に挑戦するたいへん危険な動きといえる。

過去の戦争への見解が村山談話などの政府見解と異なり、憲法との関係でも不適切な部分があったとして、田母神氏は同日航空幕僚長を更迭された。これは、当然のことではあるが、田母神氏を任命した政府の責任は極めて重大である。

なお、田母神氏はこの文の中で「朝鮮半島も台湾も日本本土と同じように開発しようとした」「日本統治下の朝鮮も豊かで治安が良かった」などと過去の日本による植民地支配を美化・正当化している。

政府が過去の侵略戦争と植民地支配を深く反省し、日本国憲法の平和理念と各国の主権尊重の原則にたって、近隣諸国との積極的な互恵・平等の関係を樹立・発展させることを強く求めるものである。

2008年11月7日
日朝協会事務局長 菅野隆

米国によるテロ支援国家指定解除による6者協議の進展を期待する談話

一、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核施設の検証方法に関する朝米間合意を受け、米国は、北朝鮮のテロ支援国家指定解除を10月11日に発表しました。これを受け、北朝鮮は、寧辺核施設の無能力化作業を再開することなどを12日に発表しました。これらの動きは、朝鮮半島の非核化へ向けた6者協議合意に基づく義務の履行であり具体的進展として歓迎するものです。

一、朝鮮半島の早期の非核化は、隣国であり被爆国である日本の国民にとっての強い願望です。 私たちは、朝鮮半島の核問題の解決に向けて段階的プロセスを順次進めている6者の取組みは現実的で合理的なものとして、一貫して支持・歓迎してきています。このたびの朝米両国の動きを受け、関係各国が6者協議合意事項を順を追って全面的に履行することが求められます。

一、日本と北朝鮮が不幸な過去を清算し拉致問題を含む懸案事項を解決することを基礎として早期に国交を正常化することは、日朝平壌宣言の基本であり、双方が精力的な協議を通じ具体的な行動を実施していくことは、6者協議での約束事項でもあります。今回の朝米両国の動きは、6者協議合意の具体的進展であり、日朝両政府の具体的な行動をうながす新しい環境の醸成といえます。

一、日本と韓国・朝鮮との相互理解、友好親善をすすめ、平和な未来をめざす私たち日朝協会は、6者協議参加各位の今日までの到達点に至る努力に敬意を表するものです。さらに目標に向かって、日本政府が6者協議の合意事項を真摯に受けとめ、各国国民の期待に応え、ふさわしい外交努力と行動を進展させるよう強く期待を表明するものです。

2008年10月15日
日朝協会会長 渡辺貢

6者協議の進展を歓迎し合意の誠実な履行を求める声明

1. 朝鮮半島の非核化を目標とする6者協議の首席代表会合が7月10日から12日まで開催されました。会合の議長の中国代表、米朝間の個別協議をはじめ構成各者代表の努力に深甚なる敬意を表するものです。

1. 6者は、前向きな進展を高く評価し、目標へ向けての「第2段階の措置」を全面的にバランスよく実施するという共通認識で、積極的な内容を持つ以下の6項目で合意しました。

(1)非核化検証メカニズムの設置。北朝鮮の施設への訪問、文書の検討、技術者との面談などによる検証措置。(2)約束の尊重・履行のため、6者の首席代表による監督メカニズムを構成。(3)寧辺の核施設の無能力化と北朝鮮へのエネルギー援助を10月末までに実施する努力。(4)北東アジアの平和と安全。(5)適切な時期に六者外相会合。(6)6者協議の包括的前進のために引き続き取り組む。

1. 我々は、目標に向けて段階的プロセスを順次進めている6者の取組みは現実的で合理的なもとして、一貫して支持・歓迎してきています。

昨年10月に発表された「第2段階の措置」の実行の進展が確認されました。この進展は05年9月の6者協議の共同声明に従い、朝鮮半島の非核化を実現するための具体的な歩みであり心から歓迎するものです。

1. 周知の通り6月11,12日の日朝政府間協議で、北朝鮮は、拉致問題の再調査の実施を約束し、いわゆる「よど号」問題解決のために協力する用意を表明し、日本は、現在行なっている北朝鮮への制裁措置の部分解除を約束しました。今回の首席代表会合の中で、日本は、環境が整えば、可能な限り早期に北朝鮮に対する経済及びエネルギー支援に参加する意向を表明しました。

当事者双方が、約束には約束で、行動には行動で応え、順を追って解決していくことが求められます。我々は、日本政府の積極的な対応が必要だと考えるものです。

1. 日本と韓国・朝鮮との相互理解、友好親善をすすめ、平和な未来をめざす日朝協会は、6者協議参加各位の今日までの到達点に至る努力に敬意を表するとともに、さらに目標に向かって、各国国民の期待に応え、ふさわしい外交努力と、行動を進展させるよう強く期待を表明するものです。

2008年7月18日
日朝協会会長 渡辺貢

日朝政府間協議の同意を歓迎し誠実な履行を求める談話

福田康夫内閣発足以降初めての日本国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)間の公式協議が6月11,12日に行われました。

北朝鮮は、拉致問題の再調査の実施を約束し、いわゆる「よど号」問題解決のために協力する用意を表明しました。日本は、現在行っている北朝鮮への制裁措置の部分解除を約束しました。諸懸案を包括的に解決し不幸な過去を清算し、早期に日朝国交正常化を実現するための具体的な動きへ向けた第一歩として、これらの約束を歓迎し、双方による誠実な履行を期待するものです。

日朝協会は4月2日の「対北朝鮮制裁措置の延長に反対し正常化のための見解」で制裁措置全体の解除を求め、6月3日には「6者協議の合意に基づき、日朝国交正常化の実現を求める要請」で国交交渉の進展を求める見解を明らかにしております。

日朝平壌宣言に基づいて、双方が誠意をもって交渉をすることにより、不幸な過去を清算し懸案事項を解決するとともに、早期に朝鮮民主主義人民共和国との国交を正常化することが求められております。同時に、北東アジア地域の永続的な平和と安定のため、六者協議の合意に基づいて日本政府が積極的な役割りをになうことをあらためて求めるものであります。

2008年6月19日
日朝協会会長 渡辺貢

戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する立法措置の早期実現を求める談話

昨日「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」が参議院に提出されました。関係各位のご努力に心から敬意を表し、併せて、1日も早く充分な論議・検討を経て問題解決への立法措置がとられることを求めるものです。

私たち日朝協会は日本軍「慰安婦」問題に関して、1992年に「ダイヤル110番」を開設して証言集を発行し、また、元「慰安婦」のかたとの交流も進め『戦争と性−韓国で「慰安婦」と向きあう』を昨年8月に刊行しました。軍の強制的関与は明らかであり、学習・意見表明を幅広く行なってきました。

今回をふくめ8回参議院に提出されたこの法律案は、2002年には内閣委員会で審議が行われ、参考人を招致して意見を聴いています。被害者やアジア各国民が法律案の審議を注目しています。

昨年来、米国下院、オランダ下院、カナダ下院、欧州議会、フィリピン下院が日本政府に謝罪と責任の受け入れを求める決議を採択しています。日本国民の、この問題への関心と世論も高まりを見せています。

被害者が生きているうちに日本政府が問題の責任ある解決を図れるよう、国権の最高機関である立法府が真剣な審議を行い、戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する立法措置を早期に実現させることを求めます。

2008年6月11日
日朝協会事務局長 菅野隆

六者協議の合意に基づき、日朝国交正常化の実現を求める要請署名へのご協力のお願い

今、朝鮮半島では大きく歴史が動いています。

2007年の南北首脳会談で、盧武鉉・韓国大統領(当時)と金正日・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)国防委員長は、朝鮮戦争(1950〜53年)「終戦」へむけての協力を宣言しました。南北の協力と交流が軍事・平和保障の分野もふくめ各分野で進んでいます。

2005年9月の六者協議(日本、中国、北朝鮮、韓国、ロシア、米国による)「共同声明」で、北朝鮮は、核兵器及び既存の核計画を放棄することを約束し、2007年11月に寧辺の原子炉無能力化の作業が開始されました。朝鮮半島の非核化への具体的な行動の進展は、隣国であり被爆国である日本に住む者にとって大いに歓迎できることで、さらなる進展を期待するものです。

日本と近隣諸国との平和構築は、過去の歴史の反省の上に日本国憲法の平和理念と平等・互恵の原則に基づき展望できる重要な課題です。日本の民主主義と生活向上のためにも北東アジアの平和と安定は欠かすことはできません。日本と北朝鮮を含め国連加盟国は2008年5月現在192か国ですが、日本は隣国でありながら北朝鮮とだけはいまだに国交がなく、また、戦前の植民地支配の清算がいまだにできていません。このような異常な状態を一刻も早く終わらせようではありませんか。

いま国内では、拉致事件が解決しなければ北朝鮮との交渉を進めるべきではないとの意見や見解があります。しかし、北朝鮮政府とのあいだで率直に話し合い進展をはかること以外に、拉致事件をはじめ懸案事項の解決への道はありません。北朝鮮による日本人拉致事件は日本の国家主権と国民の生命に対する重大な侵害、犯罪であり、私たちは速やかな解決を求めています。

2002年に小泉首相(当時)と金正日国防委員長が、国交正常化早期実現へあらゆる努力を傾注すると合意して発表した「平壌宣言」には、日朝間に存在する諸問題に誠意を持って取り組む強い決意を表明したことが明記されています。平壌宣言に従って両国が努力することは六者協議「共同声明」の合意事項にもなっています。

諸懸案を包括的に解決する外交努力と行動がすみやかに進展し、日本と北朝鮮の実りある国交関係が樹立されるよう、署名にご協力をお願いいたします。

尚、ご署名はお近くの会員にお渡しいただくか、事務所までご郵送いただければ幸いです。返信用封筒を準備しておりませんがご寛容のほどをお願い申し上げます。

文部科学省による沖縄戦の「集団死(集団自決)」の歪曲に抗議し、教科書検定を撤回することを求める見解

一、政府・文部科学省は、来年度から高等学校で使用する歴史教科書から、いわゆる第2次世界大戦の「沖縄戦」における「集団死(集団自決)」に関する記述をめぐって、旧日本軍の強制を否定する旨の検定意見を付してこれを強制するという暴挙を行いました。その後、沖縄県民をはじめとする各界・各層からの抗議に対して、「軍による関与」それ自体は認めたものの、強制性については認めないという方針を明らかにしました。

 わたしたち日朝協会は、日本と韓国・朝鮮の民衆同士の相互交流を通じて国際的な平和と友好運動に努めてきた民間団体の1つとして、このような文科省の歴史教科書検定に断固抗議します。

一、沖縄戦では、軍人・兵士のみならず十数万人ともいわれる数多くの民間人が戦争の犠牲になりました。また朝鮮半島からも、数千人といわれる朝鮮人軍夫、日本軍「慰安婦」とされた女性たちが強制的に連れてこられ、戦渦で亡くなりました。さらに、民間人には旧日本軍から手榴弾が手渡され、「万一の際には」これで自決するよう促されたことも、すでに数多くの沖縄戦からの生存者の証言、また地元の研究者をはじめとする数多くの研究から明らかになっています。今回の文科省の方針は、このような沖縄戦の事実を真っ向から否定するものであり、絶対に容認できず、撤回を求めるものです。

一、わたしたち日朝協会は、歴史の真実に立脚し、日朝平壌宣言と6者協議の精神に基づく平和と安定を求め、韓国・朝鮮の民衆との交流を図る日本の民間団体として東アジアの友好と発展のために活動していくことをここに表明します。

2008年1月16日
日朝協会事務局長 菅野隆

新年あいさつ

新年お目出度うございます。

皆様には健やかに新年をお迎えのことと存じます。

私が代表に就任し3年目になりますが、国内外における、主権者国民に依る大きな胎動変化を痛感しつつ、あらためて日朝協会の役割の重大さを認識している今日です。

とりわけ朝鮮半島の非核化、東北アジアの平和の確立のため6者協議の進展は大いにプレゼンスしてきて、協会として歓迎するところです。

このなかでは日朝協会の創造的取り組みにより、関係する内閣府、外務省などの官公庁、在日の諸団体との相互理解と信頼関係が構築されつつあります。

一重に、会員はじめ各団体皆様の英知、ご支援の賜ものと深く感謝しているところです。

さて今年の課題は多様であります。国の在り方が根本から問われますし、6者協議の進捗、日朝国交回復をはじめ諸課題にしっかり取り組まねばなりません。

私の今年の座右の銘「創」大義誠信です。

知を力に共に頑張ろうではありませんか。

会員皆様と各界との友好連帯を一層つよめ全力で取り組む所存です。宜しくお願い致します。

皆様のご健勝を祈念いたします。

2008年1月1日
日朝協会会長 渡辺貢

朝鮮王室儀軌の早期返還を求める要請書(福田康夫首相あて)

朝鮮総督府が朝鮮から持ち帰った朝鮮王室儀軌が宮内庁に保管されております。これは、旧朝鮮王国王室、旧大韓帝国皇室の重要な行事の内容を絵と文章で記録した書物で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に指定されている文化財です。

ユネスコの条約で、文化財は原産国へ戻すことが原則とされておりますし、また、大韓民国国会が返還要求決議をあげ、韓国の民間団体「朝鮮王室儀軌還収委員会」と北朝鮮の「朝鮮仏教徒連盟」が返還運動を進めていることはご承知のことと存じます。

私ども日朝協会はこの問題に深い関心を持っております。

文化財は本来あるべき場所にあってこそ、その文化的価値を発揮するものです。朝鮮王室儀軌を原産国へ早期に返還する措置をとることを要請いたします。

2007年11月28日
日朝協会会長 渡辺貢

戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する立法措置の早期実現を求める決議(要旨)

第2次大戦の戦争被害者は、急速にこの世を去りつつあり、各地から元「慰安婦」らの訃報が届きます。国会で「慰安婦」(戦時性的強制被害者)問題が初めて取り上げられてから17年が経過し、「戦時性的強制被害解者問題の解決の促進に関する法律案」の最初の提出からも6年が経過しました。

日朝協会は日本軍「慰安婦」問題に関して、92年に「ダイヤル110番」を開設して証言集を発行し、また、元「慰安婦」のかたとの交流も進め『戦争と性』を今年8月に刊行しました。軍の強制的関与は明らかであり、学習・意見表明を幅広く行なってきました。1日も早く充分な論議・検討を経て問題解決への立法措置がとられることが求められます。

山口地裁、東京地裁は、韓国・中国の日本軍による性暴力被害者に対する判決で、立法解決を強く促しています。

国連やILO等の国際機関からも繰り返し勧告・指摘を受け、03年には韓国の国会が決議を採択し、衆参両院議長あてに伝達しています。07年には米国とオランダが下院本会議で日本政府に対する決議を採択しています。

過去7回参議院に提出された法律案は、02年には内閣委員会で審議が行われ、参考人を招致して意見を聴いています。

被害者が生きているうちに問題の解決を図れるよう、国権の最高機関である立法府が真剣かつ集中的に取り組み、戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する立法措置を早期に実現させることを求めます。

2007年11月17日
日朝協会第2回全国理事会

対北朝鮮制裁措置延長に関しての談話

福田内閣は、「北朝鮮籍船舶の入港禁止措置」と「北朝鮮からの全ての品目の輸入禁止措置」との日本独自の制裁措置を6カ月間延長することを10月9日に 閣議決定した。

昨年10月の北朝鮮の核実験に対し日本政府は「我が国の安全保障に対する脅威が倍加」と認識し、北朝鮮に対して、「すべての核兵器及び既存の核計画の放棄並びに核兵器不拡散条約(NPT)及びIAEA保障措置への早期復帰を約束した6者会合の共同声明の完全な実施を改めて強く求める」(官房長官会見)とし、上記制裁措置を閣議決定した。今年4月に同措置を6カ月間延長するに当り、「北朝鮮が拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けて建設的な対応を示すことを改めて求め」ている(官房長官会見)。

その後、寧辺の核施設の活動停止・封印、IAEAの査察再開など6者協議で合意した「初期段階の措置」が既に実施されたことが確認された。9月の6者協議では、「第2段階の措置」として、北朝鮮が同施設の無能力化とすべての核計画の完全かつ正確な申告をすること、北朝鮮に対して重油90万トン相当の 経済・エネルギー・人道支援を提供することなどに合意した。合意に基づき、このたび、米国の核専門家グループが寧辺に入り、無能力化の作業が開始され、米国からの重油などの支援が開始された。このように、当事者の建設的な努力により、6者協議で約束した措置が「行動対行動」の原則に従い順次実行され、朝鮮半島の非核化へ向けた具体的な行動の進捗が見られる。

情勢の大きな進展により、核問題に関して制裁措置の継続の理由がなくなってきている。6者協議に基づき日本を含む全ての当事者が相互信頼を高め北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力をすすめるうえで制裁措置の継続は障害になるであろうし、当面する諸懸案の解決に向けての日本政府自 身の行動にも障害をもたらすものといえよう。日本政府が今日までの経緯をふまえ、制裁措置を見直し、中止することを求めるものである。

2007年11月6日
日朝協会事務局長 菅野隆

福田新内閣の発足にあたっての見解―北東アジアの平和と安全のために

1, 福田新内閣が9月26日発足した。日本と韓国・朝鮮との相互理解、友好親善をすすめ北東アジアの平和と安全をめざす我々は、この機会に次ぎのような見解を発表する。

1, 10月3日、「次の段階」(第2段階)の措置の具体的な内容を定めた6者協議の合意文書が発表された。合意文書は、(1)北朝鮮・寧辺の原子炉など3核施設を年内に無能力化。米国が当初資金を提供。2週間以内に専門家を派遣、(2)北朝鮮はすべての核計画を年内に申告、(3)北朝鮮は核物質や核技術を移転しないことを再確認、(4)米国は北朝鮮に対するテロ支援国家指定を解除する作業を開始。北朝鮮の行動と並行して約束を履行する、(5)日朝は国交正常化に向け誠実に努力、(6)北朝鮮に重油100万トン(供給済みの10万トンを含む)を支援、することを確認している。

1, 我々は、日本政府が合意したこの6項目の合意文書を現実的で合理的なものとして、積的、全面的に支持、歓迎するものである。また2002年9月17日の日朝平壌宣言の(1)国交正常化の早期実現のために、あらゆる努力を傾注すること、(2)植民地支配に対する痛切な反省と心からのお詫び、(3)日本国民の安全と生命にかかわる懸案問題に適切な措置をとる、(4)北東アジアの平和と安定に互いに協力する。についても同様の立場である。

1, 日本政府の動向が、いまほど国内外から注目されていることはない。福田総理は10月1日の所信表明演説で「すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現し、『不幸な過去』を清算して日朝国交正常化を図るべく、最大限の努力を行います。」と述べている。政府が過去の侵略戦争と植民地支配を深く反省し、憲法の平和理念にしたがってアジア諸国との積極的な互恵・平等の関係を樹立すること、また六者協議の合意文書の全面的な履行のため全力をつくすことを重ねて希望する。

2007年10月10日
日朝協会会長 渡辺貢

南北関係発展と平和繁栄のための宣言を歓迎する談話

1, 大韓民国盧武鉉大統領と朝鮮民主主義人民共和国金正日国防委員長の合意により、盧武鉉大統領が10月2日から4日まで平壌を訪問した。そして、南北関係発展と平和繁栄のための宣言が発表された。

1, 宣言は、骨子、次のように述べている。

(1)休戦体制終結のための当事国会議を開催。

(2)6者協議の共同声明が円滑にすすむよう努力。

(3)6.15共同宣言を固守し積極的具体化。

(4)統一志向の発展へ、法律、制度を整備。

(5)黄海に平和協力特別地帯を設定。

(6)11月中に南北首相、国防省会談を開催。

(7)京義線の貨物鉄道開通。

 (ソウル‐時事)

1, 2000年6月の第1回南北首脳会談以来七年ぶりの首脳会談のもつ意義は、大きなものがある。とりわけ6者協議の進展の中で今回の会談がもたれたことは、北東アジアの平和と安全にとっても重要である。

1, 2000年6月の共同宣言にはなかった、軍事・安全保障の分野での協力関係が明記され、また朝鮮戦争の停戦体制から終戦を宣言する3〜4者の会談を提起している。このことは朝鮮半島の平和と安全に大きく寄与するであろう。

1, 宣言は2008年北京オリンピック大会に南北応援団が、京義線の列車を初めて利用し参加することを述べている。韓国・北朝鮮との友好親善をめざす我々は、隣国での統一志向の平和交流、協力関係が発展することを心から歓迎するものである。

2007年10月6日
日朝協会 総務担当理事 岩本正光

6者協議の合意文書の発表を歓迎する談話

1, 6者協議で議長を務める武大偉・中国外務次官は10月3日、「次の段階」(第2段階)の措置の具体的な内容を定めた6者協議の合意文書を発表した。

 合意文書は、骨子、次のように述べている。

(1)北朝鮮・寧辺の原子炉など3核施設を年内に無能力化。米国が当初資金を提供。2週間以内に専門家を派遣。

(2)北朝鮮はすべての核計画を年内に申告。

(3)北朝鮮は核物質や核技術を移転しないことを再確認。

(4)米国は北朝鮮に対するテロ支援国家指定を解除する作業を開始。北朝鮮の行動と並行して約束を履行。

(5)日朝は「平壌宣言」にしたがって国交正常化に向け誠実に努力。

(6)北朝鮮に重油100万トン(供給済みの10万トンを含む)を支援。

1, 我々は、この合意文書を現実的で合理的なものとして積極的、全面的に支持、歓迎するものである。また、合意とりまとめのための議長国の中国をはじめ関係各国の努力にあらためて深甚なる敬意を表するものである。

1, 北東アジアの平和と安全のために、関係各国が、6者協議の合意文書の全面的な履行のために全力をつくすことを重ねて希望する。

2007年10月5日
日朝協会会長 渡辺貢

談話

朝鮮民主主義人民共和国(以下、略称北朝鮮)では、8月の豪雨で深刻な洪水が発生し、死者、行方不明者が多数にのぼり、家屋喪失、農地流出など莫大な被害が出ています。被災者は、暑さと湿気の中、不衛生で生存も危ぶまれる厳しい状態で避難生活を送っています。

国連は、北朝鮮への援助のための支援金の拠出を日本をはじめ各国に要請しています。

米国、欧州連合(EU)、オーストラリア、ロシア、中国、エジプト、サウジアラビア、ベトナムなど多くの国が緊急援助を実施、または計画しています。とりわけ韓国では政府はもとより地方自治体なども同様の処置をとっています。

北朝鮮に医薬品等を送るための緊急アピールに応え、日本赤十字社は国際赤十字に3,000万円の送金を決定しました。

親族・縁者の住む北朝鮮への復旧支援募金運動を行なっている在日朝鮮人の団体は、援助物資を日本で購入し北朝鮮に送る計画を立てています。

一方、日本政府関係者は「人道支援一般を再開するという考えは私どもにはありません。ただ、こうした極めて緊急な水害に対する期待については、もう少しよく今、政府部内で検討中です」と9月6日に述べています。

北朝鮮の隣国であるわが国は、国際社会との連携を強化し人道的な配慮をもって、水害被災者に対する緊急援助活動が迅速かつ円滑に行なわれるよう必要な対処をするべきであり、そのことを強く求めるものです。

2007年9月12日
日朝協会事務局長 菅野隆

談話

アメリカ合衆国連邦議会下院本会議は、日本軍「慰安婦」問題に関し、日本政府は歴史的責任を認め公式に謝罪すべきであるとする決議を7月30日(現地時間)に採択した。我々は、日本国の主権者としてこの決議を重く受け止める。

日本政府は、過去の戦争の真相糾明やアジア諸国への加害の責任をあいまいにし、戦後処理と戦後補償を怠ってきている。軍「慰安婦」制度の事実を歴史的教訓として直視し、責任を明確にすることは、日本国民の課題であり、日朝協会は今まで明確な態度を示してきた。

我々は、安倍晋三総理がこれまでの誤った発言を撤回し、日本軍「慰安婦」問題での責任ある公式な謝罪と補償を行なうことを強く求めるものである。

 日朝協会 会長 渡辺貢

2007年8月2日
日朝協会代表理事 渡辺貢

6者協議の進展を歓迎し合意の具体化を期待する談話

6者協議首席代表会合での合意にあたり、議長を務めた中国代表をはじめ構成各者代表の努力に深甚なる敬意を表するものです。

1. 朝鮮半島の非核化を目標とする6者協議は20日、首席代表会合のプレスコミュニケ(報道発表文)を発表した。朝鮮半島の早期の非核化は、隣国であり被爆国である日本の国民にとっての強い願望である。日本と韓国・朝鮮との相互理解、友好親善をすすめ、平和な未来をめざす我々は、地域の永続的な平和と安定のための共同の努力を約束している6者協議の進展を心から歓迎するとともに、合意の具体的進展を心から期待する。

1. 会合で6者は、前会合以後の作業及び進展を検討し、プロセス促進のためのすべての当事者による建設的な努力に満足の意を表明し、生産的な二者間の協議及び調整が行われたことを評価し歓迎した。

1. 会合で6者は、2005年9月の共同声明と今年2月の共同文書に列記された義務を「行動対行動」の原則に従い実施する約束をした。会合は、5つの作業部会の8月開催と、行程表(ロードマップ)作成のための6者協議本会議の9月初旬開催を決定した。

1. 我々は、目標に向けて段階的プロセスを順次進めている6者の取組みは現実的で合理的なもとして、一貫して支持・歓迎してきている。共同文書で約束された初期段階の措置が実行に移されている。これは朝鮮半島の非核化実現へむけての具体的な歩みであり心から歓迎するものである。

1. 各者が措置を順次実行し、次の段階へ前向きに進むことが必要である。我々は、全ての当事者が相互信頼を高め誠意を持って建設的な努力を注ぐことを期待するものである。

1. 6者協議の中で、日朝平壌宣言と2005年9月の共同声明に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置を推進することは6者協議の進展にも重要である。また、核兵器問題の解決にあたり、被爆国日本の政府が積極的な役割をはたすことを期待する。 私たち日朝協会は、6者協議参加各位の今日までの到達点に至る努力に敬意を表するとともに、さらに目標に向かって、各国国民の期待に応え、ふさわしい外交努力と、行動を進展させるよう強く期待を表明するものである。とりわけ、日本政府がこの会合の精神に則って誠意を持って合意事項の実施に当たることをあらためて期待するものである。

2007年7月21日
日朝協会代表理事 渡辺貢

総会宣言

私たちは6月9日、10日の2日間さいたま市において日朝協会第40回定期全国総会を開催しました。

総会には、多数のご来賓の方がたが挨拶を述べられ、埼玉県知事をはじめ各界から祝電・メッセージが寄せられました。総会参加者人数、参加都府県数とも前総会から大きく前進し、地方と本部の取組みや社会的評価の前進を踏まえ、英知が結集された活発な討議が交わされ、運動の量質ともなう発展を反映する総会となりました。

400周年を迎えた伝統的善隣の象徴である朝鮮通信使への関心の高まりや、多様性の広がる日本での「韓流」ブームは、「近い国」として隣国の人びとが互いを認識しあえる環境醸成への発展の可能性をはらんだものともいえます。 朝鮮半島では、鉄道連結区間の試運転など、南北の協力と交流が各分野で進んでいます。

「慰安婦」問題での安倍首相の「強制連行なかった」との発言が国内外で大きな問題となっています。真実に基づく真摯な反省・謝罪と戦後補償の実施を進めることが日本政府に求められています。北東アジアの平和構築は、過去の歴史の反省の上に平和憲法と真の国際連帯の旗を守り、基本的人権を擁護・発展させてこそ展望できる重要な課題です。

5周年を迎える平壌宣言と、4年間続いている6者協議の話し合いの枠組みの合意に沿って、懸案事項の解決と植民地支配の清算および戦後補償と北朝鮮との国交を実現することが北東アジアの平和と安全への道筋です。この立場を鮮明にしている日朝協会の社会的役割はますます重要になっています。

日本と韓国・朝鮮との間に、国際交流の原則に基づく友好親善関係の確立を目指す私たちの運動は、日本、韓国、北朝鮮の国民の幸福と繁栄はもとより世界の平和に大きく貢献するものと確信します。

私たちは、全会員が力を合わせ、広範な国民と共に今後とも力強く前進することを宣言します。

2007年6月10日
日朝協会第40回定期全国総会

安倍首相の「慰安婦」問題の発言を糾す談話

1. 安倍首相は3月1日、軍当局による「慰安婦」の「強制性」を認めた93年の「河野官房長官談話」に関連して「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実ではないか。定義が変わったことを前提に考えなければならない」と官邸で記者団に語った。

1. 我々は、河野官房長官談話の前年の1992年、「ダイヤル110番」を開設して広くこの問題の証言を募った。そして米国公文書館からも写真もとりよせ証言集「証言・日本軍慰安婦」を刊行した。この中でも、軍の強制的関与は明白な事実となっている。

最近の米国議会の下院や各種の裁判の中での、元「慰安婦」の証言でも明らかである。

1. 韓国をはじめアジア諸国はもちろん、2日付の米国のニューヨーク・タイムズ、ロサンゼルス・タイムズの各紙、また3日には中国の新華社通信が安倍首相の発言を厳しく批判している。

1. 「慰安婦」制度は歴史上、他に類例を見ない非人道的なものであった。それ故、1995年7月に発足した「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金、本年3月で解散)でさえ、「いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍に関与の基に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題でございました。」との歴代の総理大臣(橋本、小渕、森、小泉)の手紙を添付しているのである。

1. 我々は、今回の安倍首相の発言が意図的なものであれ、歴史認識の不足によるものであれ総理大臣としての見識を疑わざるを得ない。この問題が韓国・朝鮮、中国をはじめアジア諸国はもとより国際的性格をもつ重要問題として、安倍首相の今回の発言を強く糾すものである。

2007年3月6日
日朝協会代表理事 渡辺貢

談話

6者協議の合意にあたり議長国の中国をはじめ、構成国の努力に深甚なる敬意を表するものです。

1. 朝鮮半島の非核化のための6者協議は13日、共同文書を採択して閉会した。朝鮮半島の非核化は唯一の被爆国である日本国民にとって、強い願望でもある。日本と韓国・朝鮮との相互理解、友好親善をすすめ北東アジアの平和と安定をめざす我々は、6者協議の合意を心から歓迎するとともに合意の具体的進展を心から期待する。

1. 共同文書は、「初期段階措置」として、北朝鮮が寧辺の核施設を停止・封印し、国際原子力機構(IAEA)の査察を受け入れる一方、他の5ヶ国が北朝鮮に5万トンの重油に相当するエネルギー支援を行うと明記している。また(1)朝鮮半島非核化(2)米朝国交正常化(3)日朝国交正常化(4)経済・エネルギー協力(5)北東アジアの平和・安全保障メカニズム、の5つの作業部会を設置するとしている。さらに北朝鮮が全ての核計画を放棄し、核施設を封鎖するのに応じて北朝鮮に対して重油95万トン相当の経済・エネルギー・人道援助を実施するとしている。

1. 我々は、この共同文書の内容を現実的で合理的なものとして、積極的に支持、歓迎するものである。また共同文書は「平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するため、2者間の協議を再開する」ことを明記している。日朝両国間の誠意ある交渉は、6者協議の進展にとって不可欠であり、両国政府の真摯な努力を要望したい。

1. 我々は2月6日、「6者協議の再開を歓迎し協議の具体的進展を期待する談話」にでも表明し、6者協議の構成国に文書を送付したように「各国国民の期待に応え、ふさわしい外交的努力を果たすことを強く期待」してきた。

今回の6者協議にあたり、共同文書の具体的な進展を強く期待することをここに表明するものである。

2007年2月14日
日朝協会代表理事 渡辺貢

談話

6者協議の再開にあたり議長国の中国をはじめ、米朝両国など構成国の努力に深甚なる敬意を表するものです。

1. 朝鮮半島の非核化のための6者協議が、2月8日より北京で再開される。日本と韓国・朝鮮との相互理解、友好親善をすすめ北東アジアの平和と安定をめざす我々は、6者協議の再開を心から歓迎するとともに協議の具体的進展を心から期待する。

1. 一昨年9月19日の第4回6者協議の共同声明から約1年半が過ぎた。共同声明は、平和的な方法により朝鮮半島の検証可能な非核化を実現する、ことを中心に6項目の共同声明を確認している。

1. 我々は、この共同声明を現実的で合理的なものとして、当初から積極的、全面的に支持、歓迎してきている。

また2002年9月17日の日朝平壌宣言の国交正常化の早期実現をはじめ日朝間の諸問題の包括的解決についても同様の立場である。

1. 我々は昨年12月15日、「6者協議の再開を歓迎する談話」にでも表明し、6者協議の構成国に文書を送付したように「各国国民の期待に応え、ふさわしい外交的努力を果たすことを強く期待」してきた。

今回の6者会議にあたり、構成国が各国国民の期待に応え、ふさわしい外交的努力と共同声明の具体的な進展を強く期待することをここに表明するものである。

2007年2月6日
日朝協会代表理事 渡辺貢

ごあいさつ

新年お目出とうございます。

皆様におかれましてはご健勝にて新年をお迎えのことと存じます。

日朝協会は自主性と民主的原則に基づく創造な取りくみをすゝめて参りました。

暮れに六者協議が再開されました。

6ヶ国の立場は共同声明(05.9)また日朝平壌宣言(02.9)で明確なとおり東北アジアの平和的構築、朝鮮半島の非核化、国交正常化などが基調です。

日朝協会はこの趣旨、精神に一貫して賛同してきましたが、今年こそこの実現のため更なる努力を重ねる所存です。

同時に正しい歴史認識、「未清算の過去」についても真実と人道的視点から、自らの責務として解決のため取り組んで参ります。

今年の私の座右の銘は「創」=知行合一です。戦争も核兵器もそしてわが国での深刻な格差の拡大、モラルの崩壊も人間が作り出した負の矛盾です。

それは人間の英知実践により解決すべきです。

いま私宅の蝋梅は百余の蕾をつけ大寒にもめげず咲き始め魅惑的な香を発散させております。すべて生命をもつもののエネルギーと感嘆しております。

情勢は正に日朝協会を求めていると確信し、皆様各界との連帯をつよめ、全力で取り組んで参る決意です。宜しくお願いいたします。

皆様貴団体のご活躍を祈念いたします。

日朝協会代表理事 渡辺貢





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